自然学校 マヤが、はがきを手に、真澄の書斎にやってきた。
「ね、ね、これ見て!自然学校だって。いいなぁ。」
見ると、小学生らしき子の筆跡のはがきだった。
「
失われた忘れられた荒野」での共演者の子どもが送ってきたらしい。
「5年生になったら、何泊かするみたい。あたしもしてみたかったなあ」
「俺も小学校時代はそんなもの無かったな」
「速水さんは小学校時代が無かったんじゃないんですか?」
マヤはニヤニヤ笑って言う。無言で片方の頬っぺたをつまむ。
「いひゃい」
「いいなぁ、自然の中で飯盒炊さんとかカヌーに乗ったりするんだって」
「楽しそうだな」
「キャンプファイアしたり~、木工クラフトしたり!」
「お遊びだな」
「・・・なんかケンがありますね」
「俺には楽しい思い出は出来なかったな」
「行った事あるんじゃないですか」
「自然学校、なんてかわいらしいもんじゃなかった」
・・・俺が高校2年の夏、オヤジが夏休みだ、と言って俺と聖の二人を旅行に行かせた。
望んで行ったわけではない。どちらかというと無理矢理放りこまれたみたいなもんだ。
聖は中学3年で、少年から大人になる多感なときだった。
行かされた場所は、とある無人島だ。
俺が10歳になったばかりの頃、誘拐されて命からがら逃げ帰ってきたことがあったが
こんな危ない仕事の仕方をしていると、いつ命を狙われるかわからない、
その為に日頃から自分の命をいかに守るか、の鍛錬をするようにいわれていた。
いわゆる「ザバイバル」の知識を得るために、無人島に放り込んだ、というわけだ。
講師もいた。元グリーンベレーのおっさんだった。
無人島で、俺と聖とおっさんの3人、1週間の『自然学校』だ。
食べられる物、毒のあるもの。
獲物の捕え方、捌き方。火を熾し守り、調理する。保存食もつくる。
雲をみて風をはかり、天候に備える。小屋をつくる。
おっさんは、日の高い間はさすがの元グリーンベレーだった。かなり厳しく、俺も聖も歯を食いしばっていた。
しかし、日が落ちるとおっさんはとたんに目が潤む。言葉が幾分かやさしくなる。
何故か、ボディタッチが多くなる。
ある日の夕方、おっさんは俺に海岸に一人で来るように言った。話があるから、待っている、と。
面倒臭いなぁ、俺はすぐにでも眠りたいのに、と思っていると
聖が「真澄さん、僕がかわりに行ってきますから。」と言う。
それは悪いよ、俺が行くよ、というと
「いえ。その為に僕がいるんですから。先に寝ていてください。」
そう言って、走って行ってしまった。
俺は、聖がいつ帰ってきたのかわからなかった。
次の日の朝、聖が妙に艶っぽく眩しく感じたが・・・。
「ひょっとしたらあの時、あいつ・・・」
「どうか、しましたか?」
「・・・・・・いや、なんでもない」
・・・今度聖に会うとき、特別報酬と休暇のはなしをしよう・・・
「あなたへの愛故です、真澄様。あなたをお守りできることが、私の幸せなのですから。」
おしまいっ!にげっ!
ちなみに・・・・蛇足ですが・・・・
聖さんは土木作業を「さ せ ら れ た」ほうだと信じたい。
あああああ、ほんとうにゴメンナサイ!!!
うわぁぁぁぁ!!!
追記:UPしたあとに、マヤたんのお芝居の題名、違ってるよのご指摘いただきまして
え?と思ってみたら…
・・・・・・・・ほんまや・・・・!
慌てて逃げるとやっぱりポカをします・・・反省。
ご指摘くださった紫○様!!お越しいただいているなんて、そして優しく教えて下さって
本当にありがとうございました~~!
いっぱい呆れてらっしゃるとおもいますが…皆様今後ともよろしくお願いします!!
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