森のお城 8
濃厚な一夜を過ごして、あたしと速水さんはぴったりとくっついたまま、朝を迎えた。
いつもは速水さんの腕枕で目覚めるのだけれど、
今朝は、速水さんの頭を胸に抱きしめた状態で目が覚めた。
いつもとは違う夜。
いつもとは違う朝。
多分、「ラブホテル」なんてところに居る、ということだけでこんなに違ってしまったんだろう…。
こんなカンジも…結構ステキかも、ってちょっと嬉しい。
「きゃっ」
「オハヨウ」
あたしの胸をプニッ、とつまんで、速水さんが目覚めた。
「目覚めてこんな美味しそうなものが目の前にあったら…こうするしかないだろ」
そう言って、乳首を口に含んだ。
「もう、朝からダメです…えっち!」
「どうしよう…もう元気だよ…したいな…」
「え、ちょと、マジで?!……あん、やん…!」
「マヤだって…もう、ほら」
速水さんが見せた指先は、トロッと粘液にまみれていた…
そんなわけで早朝にまたアツくなってしまって、チェックアウトギリギリに慌ててホテルを後にした。
昨日ここに入る原因になった嵐のことなんかすっかり忘れていた、ってことを
ホテルを出た時に思い出した。
それほどまでに、二人は「そのこと」に熱中していた。
「とりあえず、今日まで休みをとっていて良かったな。
あんな濃厚なひと時を過ごしたら、リセットするのに時間がかかる」
「速水さん、顔が緩みきってます」
「ドリンク剤でも飲まなきゃさすがに消耗するな」
「そんなの飲んでまでスルことないです!!」
速水さんは片手であたしの頭をクシャ、として「もう懲り懲り、か?」ってきく。
あたしは、いろいろ思い出して赤くなる。
「………。」
「はははは、よかった。イヤ、ってわけじゃないんだな」
車は東京に向かっていく。
さっきまでのことが、夢だったみたいに。
いつもの速水さんに戻っていって、ちょっとほっとする。
森の中に建つ、キレイだけど妖しいお城の中であたしたちは乱れた。
淫らな夢をみるように、呪いをかけられた恋人たち、みたいに。
「あ…でもあたし…あんなホテルでなかったら、あんなことする気にはならないかもです」
「確かにそうだな…俺も完全に影響されてしまった」
お互いの立場としては…最初で最期のラブホテル体験、だったのかもしれない。
別に…その気になれば、どこででも濃厚なことをしたければするのだろうし。
純粋に、楽しかったな。それでいい。
「あ、でも」
「なんだ?」
「結局スケベ椅子の使い方、教えてもらってません」
「…………」
「速水さん?」
「それは……次に行った時に」
えええええええええええええええええ!
おしまい^^
でへへへ。
どんなレクチャをするのか、楽しみですね~~♪
それでは今宵はこのへんで。
お寒うございます。お風邪など召されませんように~~
明日もいい日でありますように♪
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