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泥を吐く
2011-05-16 Mon 02:54
しばらくコミック系が続いたので、久々の切ない系。

ひょっとすると、「真澄病み系」とも言う…?

あまり嬉しくない表現もあるかもしれませんので、ご注意くださいね。




   泥を吐く



 マヤが演劇を辞めると言い出し、速水邸に監禁?してから3日間。
マヤはハンストをして俺に命がけで抵抗している。
意識下では、演劇はマヤの本能で、演劇無しで生きてゆけないはずなのだが
後悔や罪の意識、母親への贖罪が胸の奥で巣食ってしまい
マヤ本人は「演劇を辞めなければ生きていけない」とまで思い込んでいるようだ。

なんとかしてやりたい。
もう一度、あの瞳の中に演劇への情熱が燃える瞬間を見てみたい。
けれど、腕の中のマヤは力なく生きる気力もなく涙を流すだけだ。

最後の最後だから、とかつてのライバルが主演の芝居、急に穴があいた代役を無理矢理させる。
自分の無力さを呪う。
同時にライバルの存在の大きさを知る。

あぁ

神よ,乞い願う。どうかマヤに最後に微笑みかけてくれ。

舞台の袖で「しっかりやってこい。最後まで見届けていてやる」と思いを込めたが
あっさりとかわされた。結局、おれには何もできないのか。

無事務め上げたら、この紫のばら一輪、お前に贈ろう。
そしてもう一度俺は言うだろう。
このバカなファンのために、もう一度頑張ってみる気は無いか、と。
お前は傷つくのだろうな。足長おじさんと信じてきたファンに、母親を殺されたのか、と。
この機会に俺の手から離れ、自分だけの力で羽ばたこうとしてはくれないか。

ばらの花は高貴に香る。
俺の胸の奥に沈む、口に出来ない欲望などが
紫のばらの名前を汚すのだ、と言いたげに。






泥まんじゅうをたらふく喰ったマヤを洗面所で介抱する。
まだ「トキ」が抜けない状態で。
俺は無理矢理マヤに水を飲ませ、
マヤの喉に指をつっこみかき回して
泥を吐かせる。
何度も繰り返し水を飲ませて喉をかきまわし
泥を吐かせる。

俺の指は、マヤの喉の粘膜の感触を憶えてしまった。
小さい唇を割って、あっという間に届く喉。
苦しそうに喘ぐ、咳き込む、吐く。
可哀相だと思いながらも
俺の言いなりに吐いているマヤ。
胸の奥底に、ねじれた快感が巡るのを否定できなかった…
なんと、汚れた俺。

マヤは泥といっしょに、演劇が出来ないと思い込んでいた足枷のようなのものを吐き出した。
罪悪感がマヤを縛り付けていたのなら、それは泥となって彼女の体を出て行った。
そして残るのは、役が体に宿った快感。突き動かされた演劇への情熱。
お前の眼を見ればわかる。
取り戻したお前の瞳は、美しい。

そうして、マヤは俺の元から去って行った。
最後、恥ずかしそうに「ありがとう」といってくれただけで俺は
情けないけれど鼻の奥がきゅん、となった。
こんな感覚は生まれて初めてだった。
生きてきて良かったなんて思ったことなど無かったのに。








望まぬ結婚をしようとしている俺の
体の中にはいっぱいの泥がつまっている。

何が泥になっているのか。

マヤへの罪悪感、喪失感。
婚約者への罪悪感、将来への不安。
マヤの将来の幸せを願いながら
自分が気が狂うだろうとの焦り。
真夜中に出てくる、喉や唇の感触。真っ白にくねる姿態。

だれか、俺の泥を吐かせてはくれないか?

誰に頼んでも無理なことはわかっている。
こうしている間にも、俺の中の泥は溜まりつづけ
俺は沼の底に沈んでいる。

誰か。だれか、助けてくれないか?

もしも、泥を吐ききることが出来たなら
俺はどんな風に変われるのか?
叶わない夢でお前を抱く
小さく、虚しく、泥を吐く

せつなく、泥を吐く…。










ああぁぁぁぁぁぁ!救われないようっ!!
誰か、タスケテ~~~~~!!!


ずびずば~~~~



ぱぱぱや~~~ ああああっ、すみませんっ!!!
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