極秘会議 例の会議は社の会議室では行われない。
世間の注目を浴び、今年のCM大賞の話題賞は確実との噂もある。
注目を浴びる原因は謎の男性モデル「M」の存在である。
世間に素性を明かさぬまま活動を続けるならば、企画会議からトップシークレットである。
関係者だけに携帯のメールで日時と場所が知らされ、有名ホテルの一室を深夜借り切っての会議である。
「ややこしいのは、出演者にまで秘密にしないといけない事ですよね」
「なんとかして知ろうとするからな、あの人は」
「当日無理矢理っていうパターンはお約束ですからね」
「そういえば、出入りの宅急便に新入りが来てさ。なんか探ってる感じなんだよね」
「ひょっとすると盗聴器とかつけられたらヤバいな」
「あ、そういえばうちも新入りだ」
「その人、やたらキレイな顔してない?」
「そうそう、前髪やたら長い」
「あの人関係の諜報部員とか?」
「まさかぁ。スパイ大作戦じゃあるまいし~」
「でもありえるよなぁ、あの会社じゃ」
「油断ならんからな、あの社長じゃ」
「しっ!!禁句ですよっ『社長』は」
「『Mr.M』か?ますますそそられるよなぁ、マスコミにしたら」
「作戦作戦。まぁ前髪長い宅急便には気をつけるように。では、次の企画どうする?」
「ユニ側希望は夏衣料なんですが、この人気でしょう、もう特にこだわらなくてもいいそうです」
「どういうこと?」
「いや、二人の物語で商品さえ身につけてくれてブランドロゴさえはいりゃ、何でも良いって」
「なんでも、って。」
「ほら、犬のお父さんの一家みたいなね。商品のイメージさえなくて意味がわからなくても
話題になりさえすればそれでOKってことでしょうかね」
「ユニさん、思い切ったねぇ」
「もうあの二人イコール、って感じですからね。」
「それにマヤさんの素がぴったりでしょ。イメージこんなの、って伝わればすぐにその世界ができちゃうし。」
「広告代理店としては、仕事が早いというか、ラクというか。こんなんでいいんでしょうか」
「そのぶんMさんをその気にさせるほうに気を使うからまぁ、対タイですかね」
「それが、けっこう最近のMさん、素直でしょ?開き直ったのか、諦めたのか。」
「いつもと違う自分、が快感になってきたんでしょうかね」
「あ~、そろそろ冒険したいっていうかさせたいっていうか。」
「Mさんにムチャぶりしたいよなぁ」
「あっ、結構キワドイ下着、なんてどうです?」
「キミね~個人的にキミが見たいだけだろう?」
「いえ、世間の女性一般の意見です。」
「ほら、ごっつイケてる!のTバックみたいにさ」
「そんなの関係ねぇ、とか、やってほしいです~~~!!」
「「「「やるわけねぇよ~~~~!!!」」」」
「えっ、その時マヤちゃんどうするんですか?」
「下着ってわけにはいかんだろ」
「水着は?」
「そーか、水着!」
「ユニ社に至急で男性競泳用水着作ってもらわなくちゃな」
「…ってか、マヤちゃんの衣装のこと二の次になってませんか」
「いーのいーの、マヤちゃんは何着てもカワイイ、それをMさんが気に入ればOK。
何よりMさんが面白い、かつセクシーなのが決め手になるのだ!!」
「よし!では次回は水着!!プールサイドで戯れる二人。ハイッ、決定!!」
イヤホンから聞こえてくる情報に耳をすませていた、前髪の長い宅急便の兄ちゃん。
「おいたわしや…真澄さま」
「…でも、かなり私も興味がありますね。今回も情報を盗めなかったことにさせていただきます」
そのくらいの楽しみ、普段こき使われているご褒美にいただいたっていいじゃないか。
おしまい。
・・・この撮影のお話が出来るかどうかは・・・極秘です!ふふふ。
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