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紫のバラのひと 2
2012-05-28 Mon 01:04
今宵も

 はね吉 がらすの森 ~


…に、お越し下さって、ありがとうございます^^


ああ~、もうすぐ今年も半年過ぎましたなぁ、なんてことを言うんですね…
月日の経つのはなんてはやいんでしょう…
そして、試演の日がいつまでたっても訪れないのは何故なんでしょう…
うわぁぁぁぁん。


さて、続きから第2話です。
過去エピソードを掘り返そう、キャンペーン…いや、そんなのはってません。
あのシーンのその後って何も描いてなかったから、勝手に妄想しちゃいましたよ~~ん、シリーズ…
ってそんなのもしないですけど、
いろいろと書きたくなってしまいますね^^


では、続きからドゾ!!











              紫のバラのひと 




 「速水…真澄…!!」

「うぷ、あ、いえ、速水さん!」

「やぁ、しばらく。奇遇だな、こんなところできみと出会おうとは」

速水真澄は涼しい表情でさらりと挨拶をしてきた。
なんでこんな大切な日に、コイツの顔を見なきゃならないんだろう。
「どうしてこんなとこであなたが…?」
相変わらず涼しい顔をして話す速水真澄。
「美しい女優たちへの接待でここに来たら、君の姿を見つけたというわけさ。
 それよりもどうしてここにいるんだ?
 随分とめかしこんで。デートか何かなのか?」
なんかニヤニヤしてる。また からかうつもりなんだわ!

「あ、あなたには関係ありませんっ!!」

ああ、緊張して損した気分!
紫のバラのひととは似ても似つかぬヤツなのに!!
こんな冷血ゲジゲジが紫のバラのひとであるわけないもの!

ドキドキを抑えていると視線を感じる。
目を上げるとバチっ、と速水さんと目が合った。

「なっなっなっなんなんですか!
 なんでジロジロ見てるんですか!!」

「いや、失礼…そのばら色のドレスが似合っているな、と思ったんだよ」

なに?その嬉しそうな笑顔は?!
柔らかな視線…いつもの皮肉な笑顔じゃなくて、優しい光が宿っている…
こんな顔を見ると、あたしは戸惑ってしまう。
冷血仕事虫のゲジゲジじゃなくなってしまう、別人みたいなこの人に。
自分がどうしたらいいのか わからなくなってしまう。

そこに案内されて入ってきた、品のいい老婦人。
え…ひょっとして、この人が…?女の人、だったの…?


「これは、北白川さんではないですか!」
「まぁ、あなたは?」
「憶えておられなくても仕方ありませんね、大都芸能の速水真澄です」
「大都の…まぁ、速水社長の息子さんね?見違えたわ、ずいぶん立派になられて」
「ははは、お会いした時はまだ高校生でしたから。
 今日はどうしてこちらに?」

「実はね、こんなものをいただいたの。これはあなたが下さったの?」

あたしをよそに、話が盛り上がっているふたり。
その、「北白川さん」が出したのは、紫のバラのイラストが描いてある、招待状だった。

「あ…!」
「ほぅ…紫のバラ…」

「いたずらかとも思ったのだけれど、ご丁寧なお手紙も添えてあって
 昔のわたくしの舞台のこともよくご存知のようだったので
とにかく一度いってみましょう、と」

「あ、あ、あたしもその方に呼ばれて来たんです、紫のバラのひとに!」
速水真澄!部外者はあんたのほうだっての!!

「紫のバラの人…?なんですの?いったい」
「あの、えっと…」

話し始めようとしたら、すかさず速水さんが口を挟んできた。

「どうでしょう、北白川さん。ぼくはこのお嬢さんも知り合いなんですが
 お二人は初対面のようだし間を取り持つ役目をさせていただけませんか?
 食事は賑やかなほうが楽しいですし、義父が大ファンだった北白川さんのお話を
 ぼくも聞かせていただきたいのですが」

な、なにぃ~~~~~~?!

「まぁ、そんなお上手を仰るのね。このお嬢さんが良ければわたくしは構いませんことよ」

北白川さんがゆったりとした笑顔であたしを見た。
あたしはホントは、ほんっっっとに速水真澄を仲間に入れるのは嫌なんだけど
素敵な上品な微笑みにほだされて仕方なくOKした。
自分のペースでどんどん話を進める速水さん。
なんつーずーずーしー男なんだまったく。
ココに紫のバラの人が来られたらどうしよう、とさえ思うわ。

それから頼みもしないのに、
速水真澄は司会進行役みたいにあたしの紹介をして、北白川さんのお話をスムーズに引き出して
和やかに食事会が始まろうとしていた。

給仕の人が、あたしにメッセージがあります、とプレートに封筒を乗せて来た。
紫のバラの花といっしょに…



『彼女はきっと あなたの役にたってくれるでしょう
 素敵な夜をすごされますように・・・
           ~あなたのファンより~ 』



では…では

紫のバラの人は…今夜は来られない、ということ…?

このひとを、あたしに引き合わせるために ここへ…?

来ないんだ、やっぱり…

紫のバラの人は…やっぱりあたしには会って下さらない…

わかっていたことなのに。

あたしが会いたくて会いたくても

紫のバラのひとは あたしに会いたい、とは思って下さらない…


思わず、涙がこぼれた。
いけない、食事会の初めにこんなこと…と思ったけど
涙が止まらなかった。

北白川さんが、心配してくださった。
心配かけないように、あたしはムリヤリ笑って説明した。

「あたしの恩人なんです、紫のバラのひと。
 今日初めてお会いできるかと思ってきたのですが、
 やっぱり今日も来られないと知って、残念だったんです」

「まぁ、なんですの?その紫のバラのひとって…
 速水さんのことでは無かったのね?」

あたしと速水さんは偶然に顔を見合わせた。
あたしは「え゛?!」って睨みつけた。こんなのといっしょにしないでいただきたい。
速水さんはなんか引きつってる。あたしの睨みが効いたのね。勝った。

そして速水さんは「プッ」って噴出して
「きっとおふたりのファンなんですよ。
 新旧アルディス役者を引き合わせて食事会とは粋な計らいをされる方ですね!
 さぁ、ふたりのアルディスの出会いを祝って乾杯といきましょうか」

そうして、速水真澄のペースに巻き込まれたまま
(そのほうがやっぱりラクだったのは確かなんだけど)
3人の食事会は進んでいった。


…北白川さんがどんなふうにアルディス役をつかんでいったのか…
あたしの悩みも聞いていただいて、アドバイスをしていただいた。
感覚の再現をする、ということが 演技をする、ということ。
本物の感情の表現は、それだけで観る者の共感を呼び、説得するということ。

そして…

自分が、ほんものの 王女であると信じて舞台に立つ、ということ。

あたしは…

あまりに自分と正反対だから、と思い込んで想像力が硬くなってしまっていたんじゃないかしら…?
あたしは、王女なのだ、と信じて…。



「ちびちゃん、どうする?」

「は、え?」

「北白川さんにいいアドバイスをもらってからというもの、きみは虚ろだったな。
 さてはずっと演技について考えていたんだろう?」

「あら?き、北白川さんは…?」

「…はは、もう、ははは、とっくの昔に、ははは、お帰りにはははは、なられたよ!
 きみの真剣な芝居への取り組み方を見て、感心されていた、はははははは」

「うっそっ!!!!!」

「きみのお皿を見てごらん。失敗した福笑いみたいになってるぞ」


あたしは青ざめた。

お皿だけじゃない…。そこらじゅうにパンの欠片とか温野菜やらお肉の切れ端やら
つついたり転がしたり落としたりした証拠のシミとがちりばめてあった。

テーブルに突っ伏したいくらい恥ずかしかったけど、さすがにこの惨状の見ればそれははばかられた。

その途端、「きゅるきゅるきゅる~~~~~~~♪」とあたしのお腹が鳴った。

速水さんが、くわっ、と目を剥いた。
あたしはそこに転がっているトマトみたいに赤くなった。

「あ、えと、緊張したり演技について考えててちゃんと食べてなかったみたいで…」

大爆笑で呼吸困難をおこしている速水さんはしばらく何も言えなくなって咳き込んで
給仕のひとが慌てて水を持ってきた。

「ああ、ちびちゃん、仕切りなおしで何処か行こうか?
 さすがにこんなに散らかして迷惑をかけたら、追加を言い出しにくいだろう?」

なんだかわけがわからないうちに、あたしは速水真澄に引き摺られるようにして
そのレストランを出て、夜の街に出て行ったのだった。






              つづく^^




さて、ココまでは過去エピのおさらい、です♪
ちょっと「その後」であそんでしまいますよ~~ん♪


もちょっと続きます~~☆



それでは今宵はこのへんで。

明日もいい日でありますように…☆
(雷・竜巻に注意ですよ!!)



 
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この記事のコメント
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2012-05-30 Wed 21:46 | | #[ 内容変更]
Re: 困ったときの
お疲れ様でございました!!
まだ体調が優れないとのことですが
論文のごときコメントを拝読し、感激しつつ
あ~~、○様(あえて今までどうりの呼び方で)は
「書いている」ことが「生きている」こと、な程、
マヤたんの芝居の本能のように「書いてしまう」お方なんだなぁ…と
感心を通り越して尊敬してしまうワタシです。
『無理はされないでね』と思いつつ多分、「書くこと」が健康法、ってストレス解消、って
そんな体質なんでしょう?でしょ?でそ?
それを読ませていただけること…しかも一人占め。
ああ、モッタイナイ、ってほんとに思うんです。贅沢だわ~~~
○様書簡集、ってガラパロ全集の1冊にできるわ~~って。
光栄です、ほんとに。ありがたいです。
きっとね、○様がコメントを寄せているサイト様みなさんがそう思っていらっしゃるだろな~~って。
もったいねぇ~~~~!公開してぇ~~~~~!って。

まさかマスマヤ関係がフェアトレードについてまで及ぶなど想像もしませんでしたが
あのわかりにくい優しさの速水さんと速水さん限定で強気になるマヤたんと
あのデコボコさでなぜくっつけるのか、というのは
やはり「赤い糸」とか「相性」ありき、だったのかぁ…と
○様コメントで初めて思い至りました。
恐るべし、赤い糸…
でもステキ♪

「わかりにくい良さ」って…結局、美徳とされている奥ゆかしさ、から来るのかナァ?
押し付けでなくて、気付いてくれたら、うれしーなぁ~、ってカンジで提供される…。
最近の日本でも、「わかりやすさ」で押し付けてくるものが多くなりましたよ。
おばちゃんのたわごと、ですが「昭和」が懐かしかったりします、ハイ。

ありがとうございました^^
体調がはやくよくなりますようにお祈りしてます^^
2012-06-04 Mon 00:41 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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