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白球に愛をこめて 3
2011-10-05 Wed 02:30
ワタシの実家って、甲子園球場から1.5キロくらいの所にあるんですけどね。

ナイターやってる時なんか、テレビで野球中継見ていたら
「ステレオ」で歓声が聞こえてくるんですよ~
テレビで。少し遅れて、外から。

学生の頃、「20年ぶりの優勝」の年、
永きに渡って苦杯を呑んできた阪神ファンの弾けっぷりったらなくて。
あるキリスト教会で「阪神優勝感謝礼拝」があって、
礼拝が始まる前のオルガンの前奏のとき、
「あれ~、なんか聞いたことあるな、この曲…」って思ったら
六甲おろし@ミサ風」だったそうです。
すごいな、それ。

最近の阪神、どうしちゃったんでしょう。



白球に愛をこめて、3です。
続きからどうぞ。







                 白球に愛をこめて    3



へそを曲げてしまった真澄の機嫌を直すのは、さすがのマヤにも難しかった。
今回は野球に対する真澄のプライドとマヤの熱愛報道(でっちあげ)とがからんでいるのでややこしいのだ。

始球式の衣装はパステルピンクとクリームパープルのタンクトップと短パンで決定していたが、
急にへそ曲がり社長が「紅姫神の紅梅の打掛」で紅天女をアピールする、と言い出した。
そんな衣装で投げるのは難しいと言うと、
ボテボテの球で構わない、どうせ始球式なんてそんなもんだ、だれもまともな投球なんて期待してない、
などと言い出す始末。
なんだそりゃ始めに言ってたことと真逆じゃねえかよなんのために練習できるようにスケジュールすりあわせてやったんだよあたしの苦労をなんだとおもってんだこのタコ!
…とは、水城は言えずにいた。
なんとかして、当初の計画どうりに無事に始球式を執り行いたい。
なんとかして、マヤのタンクトップと短パンのかわいい姿をお披露目したい。

そんなにまともな投球にこだわるなら、おれに投げさせろ…

蚊が鳴いてるのか、と思うほどの社長の本音を、有能すぎる秘書が聞き落とすことはなかった。


結局のところ妥協の接点はソコににしかなさそうだ。
水城は球団事務所に問い合わせをすることにした。

「…捕手をウチの社長にするわけにはいきませんか?」
「ああ、別に構いませんよ。ユニフォームはウチの球団のものをお使いになりますか?」
「そうですねぇ…」

「良いんならおれは自分で用意するからな♪」へそ曲がり男が嬉しそうに大きな声で宣言する。

「申し訳ありません…」水城は小さくなりながら相手方に告げる。
「大丈夫ですよ。言い出したら聞かないと有名な方ですからね…」




さて、いよいよ始球式本番となる。
予定どうり、パステルピンクとクリームパープルの衣装、同配色のキャップという出で立ちのマヤは
狙いどうりキュートで妖精のようだ、と真澄は思う。
へそを曲げたおかげで和装と洋装のMixしたフリフリ衣装なども考えて
それも捨てがたいがなぁ、と本気で思っていた。なに、来年にまわせばいいことだ。
かくいう自分も、大都社員から見れば「コスプレ」をしている。
衣装部にかなり無理を言って超特急で自分用のユニフォームを作らせた。
胸には「Daito」背中には「HAYAMI 1」とはいっている。
高身長の真澄がユニフォームを身につけると、本物の野球選手のように見える。
マヤがぽうっ、として見上げる。
「速水さん、なんだかすごくカッコイイ…本物みたい…」
「そうか?なんでそんな小さな声で言うんだ」
「だって、他の人もいる所でバレちゃったら困るでしょ」
「もうおれはバレたって構わないけどな」
どうやら藤田投手との熱愛でっちあげを根に持っているらしい。

もう、速水さんて思ってたよりもすっごくヤキモチ焼きなんですねっ!
「そうだな。きみが気付かなかっただけで、相当嫉妬深い。自分でも認めるよ」
「開き直ってどうするんですか!」
ぷく~と膨れて上目使いで睨んでくるマヤを心底かわいい、と思う。

「さぁ、そろそろ出番だぞ。今までの練習の成果を存分に出すんだ。いいね」

「はい!あ…そだ、速水さん」
「ん?なんだ」

マヤが片手を口に当てて話そうとするので、真澄は少し身体を屈めて片耳を預ける。

「あたし、速水さんが大好き、っていう気持ちをボールにこめますから、しっかり受け止めてくださいね♪」
(フォントは小さいですがシャチョーの心には大フォントで響いております)

そんなふうに耳打ちされて、
東 京一郎の「はるみぃ~~~~~~~~」よろしく、
「マァ~ヤァ~~~~~~~~!」と飛びかかりたかったが、ぐぐっ、と耐えた。


「さぁ、試合に先駆けまして、始球式となりますね。
今日は演劇界の幻の名作、紅天女の正式継承者に決定した北島マヤさんが、初めての始球式に臨みます。
先日投球練習にこの球団にいらっしゃってましたね。
藤田投手となかなか素敵なカップル誕生か、なんて書かれていましたけど、阪堂さん、いかがですかね」
「いやぁぼかぁね、この北島マヤちゃんてどんな人かはよく知らんのやけどもね、
案外女優さんゆうても平凡なカンジのコやね。藤田くんとは同級生らしけど、そんなトコと違いますか」
「そうですか。おや、キャッチャーは何選手でしょう?」
「プロテクタついててようわかりませんな」
「あ、今情報はいりました。え、あ、なんと選手ではありませんね!」
「どうゆうこっちゃ」
「あ、北島さんの所属事務所、大都芸能の速水真澄社長だということです」
「なんでまたそんな人が出てくるんですか」
「おーーーーっと、バッターは例の話題の中心、藤田投手が務めるようです」
「今日の登板は無いのにですか」
「なかなか、粋な配役ですね。客席からも歓声が沸いております」

かの藤田投手は完全にビビッていた。
登板はない、と言われて内心ホッとしていたのに、
まさかこんなカタチで引きずり出されるなんて公開処刑もいいとこだ、いや、
だいたいなんのアクションもしていないのに処刑される筋合いなんて無いのに。
久々に立ったバッターボックス。
脇に控えるキャッチャーが青い炎につつまれているのを見ないようにしていたのに
ふと立ち上がって握手を求めてきた。
「ひ」内心びくついた。

「北島の投球に指導していただいて、ありがとうございました」
「い・いえ…」
「いや、さすが藤田投手の指導は適切で。2時間ほどであんなに上達するとは思いませんでしたよ」
「とんでもないッス」
「始めは後ろに球が飛んだりしたんですよ、ははは」
「へへ、へぇ」
「ご指導の成果、見てやってください」
「あ、お、お願いします」

社長は握手しながらどんどんと握りしめていった。
口調の柔らかさとは反対に憎しみがこもっている、と藤田は感じた。

「…マヤには手をだすな…」
最後にそう言われて
「ひゃ、ひゃいっ」声が裏返ってしまった…

「さぁ、準備が整ったようです。マヤちゃん、かわいいですね」
「なんか高校生みたいですなぁ」
「藤田投手も緊張しているんでしょうか」
「久々のバッターボックスですからな」
「お、北島投手、キャッチャーのサインに首を振っていますね」
「演出ですなぁ。芸がこまかい。まあワンバンでも届けばいいとこでしょうが」
「お。決まりましたね。構えます」
「大きく振りかぶって……投げました!」

マヤの投げた直球は、ふわっ、と山になりながらも
真澄の構えるミットの中に真っ直ぐに飛び込んでいった…
「ストライク!」球審が手をあげる。
バッター藤田はマヤの球が思いのほかキレイに飛んで来たのに感動して動けずにいた。

真澄は…
球審の声とともにマスクを跳ね上げ、マウンドにいるマヤ目がけて走り寄っていった。
そして、高校野球で決勝回に見事ストライクバッターアウトを決め、勝利した瞬間のように…
「う・うそっ」とひきつっているのもお構い無しにマヤを抱き上げて喜ぶのだった…

「…すごくいい球でしたね、阪堂さん」
「そやね、女の子が届かすっちゅうのもなかなかやと思うよ」
「あのキャッチャーはいったい…」
「藤田くん、ポカーンとしとるね」
「…よくわかりませんが、歓声の中、北島マヤ選手、手を振りながら退場していきます」
「しかし藤田君、ポカーンとしたままやね」
「あ、北島さん、藤田投手に握手を求めてます」
「歓声が沸いてます!…が藤田投手、ぎこちないですね」
「あれちがいますか、あの社長さんに釘さされたとか」
「ほほう、なるほど」
「今日登板でなくて良かったなぁ、藤田君。そやったら負け決定やね」
「縁起でもないこと言わないで下さい阪堂さん。さ、では試合にはいります…」


「もうっ、なんかスゴク恥ずかしかったです!」
「いやぁ、素晴らしかったぞ、見事ストライクだったしな!感動した」
「ま…まあね、気持ちを込めましたから」
「しっかり受け止めたよ、マヤ」
優しく囁かれて、マヤは ぽ、と頬を染める。
「では今夜は、おれの直球を受け止めて欲しいんだが」
かあっ、と真っ赤になる。
「ついでにバットも振り回そうかな」

「下ネタじゃねぇかよ!」と社長の頭を張りたくなったのはマヤだけではないはずだ…




今回の始球式騒動で誰よりも楽しい思いをしたのは、マヤよりも真澄だった。
紅天女の独占もマヤの所属によって叶えられ
次なる野望…

そう、大都グループが野球にも参入すること。
まだ誰にも知れていないこの野望、いつか形にしてやる。
マヤ以外のことで久々に胸が熱くなるのを
心底楽しい、と思えた真澄なのであった…




                  おしまい!






ああ、楽しかったです、始球式@マスマヤ!
Cor-○○○○○様!いかがでしたか?
書いているうちに、球場の歓声や実況中継の様子が浮かんできて、とても楽しかったですよぅ!
伝わっているといいのですが…
リクエストで書く、というのもやっぱりほんとは良いものです…
考えもしなかった「萌え」に出会えるのも。

キリ番設定は長めにとらせていただきますが、
ほんとに「ゲリリク」はしますので!!
よろしくお願いします~~!



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