愛しい癖 １
マヤと過ごす休日。
どこかに出かけるのもいいが、ふたりでのんびりくつろぐ時間、というのも心が安らいでいい。
…本当は…ベッドで…重なりながら…くつろぎたい…のだが…
いつもいつも…逢う時は…重なっていたい…のだが…
「速水真澄＝ガツガツした中学生並の性欲」とマヤに思われたくはないので
５回逢ううちの３回まではやせ我慢をして
こんなふうにリビングで音楽を聴いたり、それぞれに好きな本を読んだりしている。
やせ我慢をしている状態で、本当に心が安らぐのか？と突っ込まれるのだろうが、
とりあえずマヤがそばに居さえすれば。
マヤから求めて来ることだって…あるかも………無いか。
マヤは次の舞台の原作小説を読んでいる。
台本を読む前にわかっている場合は、原作を予習してイメージを膨らませるそうだ。
見るとはなしにマヤを見ていると、
時々ペロ、と唇を舐める。
どきん、とする。
舐めるたびにうっすらと湿り、淡い艶が乗るくちびる。
その瞬間、信じられないくらい官能的な動きをするが
閉じられた次の瞬間にキュ、と引き締まりつけ入る隙を与えない。
どきんどきんしながら眺めている。
おい、速水真澄。情けないぞ、オマエはいつからこんな及び腰の男になったんだ。
心臓の鼓動が、指先で鳴っている。
ああ、もう、我慢ならん！！
ふらふらと指を伸ばしていくと、マヤがふっ、と立ち上がる。
ビクッ、として指を引っ込める。
マヤは小物入れからリップクリームを出してくる。
もとの場所に戻ってぺたん、とすわり
リップクリームを塗り始める。
マヤはれっきとした大人の女になってからも
普段は口紅などは塗ったりしない。
美味しそうな果物の匂いのするリップクリームだけだ。
時々、てろんてろんに濡れて輝くグロスなどつけたりもするが
そんな時に限って俺が挙動不審になるから、とあまりつけてくれない。
リップクリームのフタをとり…
クル、と廻して少しだしてから…
くちびるをチュ、と尖らせて…!!?
そのままの形で、ぬり、ぬり、ぬり、と…
マヤ…その塗り方…尖らせて…塗るのか…！
俺は、その「くちびるを尖らせて塗る」子を初めて見たぞ！！
俺は激しく、感動していた。
可愛すぎるじゃないか…！
どこかぎこちなくて…垢抜けてない感じが漂うのだが…
そのくちびるの形に誘うような艶が生み出されて。
ああ･･･！
我慢できなくて、マヤの、リップクリーム塗りたての、つやつやぷるぷるのくちびるに
俺のくちびるを押し付ける・・・
目を見開いてびっくりするマヤだが、俺を押しのけようとはしない。
しばらく、くちびるを貪る。
塗ったばかりのリップクリームをすっかり舐め取ってしまった頃解放する。
「ン……もぅ、速水さんたら…」
そう言って、また、くちびるを尖らせてリップクリームを塗った。
…そして俺はまた、マヤのくちびるを舐め取る…
「…もう…どして？」
また、リップクリームを…。
そしてまた、熱くくちづけを…。
「んもうぅ！なんなんすかっ！！」
とうとうマヤを、怒らせてしまった…。
「ごめんごめん…つい、可愛かったからさ…」
その、ぷるんと尖がったくちびるにクルッと塗るリップクリームの仕草がかわいい、とは…
しばらくナイショにしておこう、と思った。
つづく。
かわいいマヤたんとかわいい真澄の甘い甘いやりとり♪
真澄編があります！
お楽しみに、です！
では、今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように^^
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