森のお城 1
風が車体をびゅうびゅうと押してくる。
ワイパーが最速で働いているのに、視界が雨煙でぼやける。
速水さんは眉間にシワを寄せながら舌打ちをした。
「しまったな。思っていたよりも上陸が早かったようだ」
雨や風だけじゃない。風で千切れて吹き飛ばされた小枝や葉っぱが
あたしたちの乗っている高級外車に向けてぶつかってくる。
「速水さん…なんかいっぱい車にぶちあたってますよ」
「そうだな。これ以上大きな物体が飛んでくるのも時間の問題かもしれん」
「ね…これ以上運転するのは危険ですよ?どこかに停車したほうが…」
「出来るだけ早く戻りたかったが…これからもっと台風は強くなるらしい」
「あの…だいじょうぶ…ですから」
「何が?」
「今晩も…帰らなくても…だいじょうぶ、ですから…」
速水さんの伊豆の別荘で楽しくて幸せな一夜を過ごしたところだった。
なかなか二人同時に休暇をとれることが少ないから、
伊豆に行った日は帰りたくない、って思ってしまう。
もっとずっと、いっしょにいたい…。
ちら、と横目で運転席の速水さんをうかがう。
速水さんは…表情を変えないけれど…
顔色は変わっていた。 …真っ赤っかに。
速水さんとは…もう、ちゃんと、オトナの関係になっている。
…って言っちゃった!言っちゃった!きゃああああ//////////
えと、何回も…お泊り…してる…。
地方公演であたしが宿泊しているホテルに忍び込んできたり。
東京にいる時は…速水さんが老舗ホテルの部屋番号をメールで連絡してきたり。
何回もオトナの関係を続けているけれど、
いつまでたってもドキドキしてしまう。
速水さんも…年上で慣れてるはずだろうな、と思うのにちょっと照れたり恥ずかしそうにしている。
…まさか…あたしが…初めて、ってことは……無いと思うけど!
そのへんは、ビミョー、な気持ち。
あたし以外の女性って思うと悔しいような悲しいような気分だけれど
あたしが初めてっていうのは、それはそれでヤ、だな~って。
実際あたしを裸にしてしまった後は、
初めてのあたしでも感じすぎて「イッちゃった」くらいにテクニシャン、なんだろうな~って思ったし。
…ナニ言ってんだろ、あたし…////////
…まいったな…なんか、ジュワッってなっちゃってそう…
速水さんが、表情はそのままで(でも赤いままで)呟く。
「このへんで…泊まれるようなところ…」
「おれも…こんなところは初めて行くんだが」
「ちょっと冒険してみるか、マヤ?」
ばつの悪そうな表情になって、あたしを見る速水さん。
「え?」
す、と斜め左前方上を指差した。
指先は…キラキラとネオンが輝いてライトアップされた、シンデレラ城みたいな建物だった…。
続く♪
記憶を…記憶のひきだしを、ばんばん開けつつ書いてます!!!!
なかなか目当てのものが(思い出や状況)みつかりません><
かなり時代遅れ情報になるやもしれませんが、ご容赦くだされ~~
あまりイケイケでない速水さん、を書いてみます^^
いや、気持ちは溢れているけれど、テレ屋さんな速水さん、です^^くふふ。萌ええ
それでは今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように…
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