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ひとつのまこと 6
2011-03-29 Tue 02:31
妄想、というのは自由にはばたく物ですが、
いざそれを文章にしようとすると、なかなか上手には書けない物ですね。

二次小説、というような括りには絶対に入らないような、拙い文章に泣けてきます。

たくさんの作品を作られているパロ作家さん達、すごく尊敬してしまう…

だから、自分では「パロデビューしました」発言は出来ません…

じゃ、今書いてるのって、なに?

題名も無く、続くのか、終わりかもわからず。

や~~~、自己満足、でいっか~~~?

と、いうことで、一番初めに書いた、桜小路くんのくだりに戻っていきます。
自分の中では続き物、だったんですね・・・


てへ。










              ひとつのまこと 6





僕の手を握ったまま、静かに寝息をたてている彼女を見ていた。
涙の痕が残ったままで、目元が腫れぼったい気がする。
普段は何処にでもいる、フツーの女の子だ。
いや、フツーじゃないな。純朴すぎる、ってほどだ。
女優なのに、そんなに泣いてシーツにうつ伏せに寝込むなんて。
男の僕だって、仕事柄顔が浮腫むな、とか心配するのに。

君って子が、解らなくなっちゃったよ、マヤちゃん。

あんなに憎んでいる、と公言していたのに。
顔を見ると必ずケンカしていて、周りがヒヤヒヤするほどだったのに。
僕だって、社長とはいえジェーンを晒し者にするようなあの態度には腹が立ったのに。
常に、彼女にはからかうような態度でしか接していないあの人。
あんなふうに親しく抱き合うなんて、騙されたりしてないだろうかって思うのに。


その時、彼女がぴく、と身動きした。
僕はとっさに、目を閉じて眠ったふりをする。

ふと彼女の握る手に力が入った。目覚めたのだろうか。


「いけない…眠っちゃってた…もう、こんな時間だわ」

そのまま、眠ったふりをし続けることにした。
混乱した頭では、彼女ともまともに話せる気がしない。

「桜小路くん…まだ目が覚めないのね…
ごめんね…あたしがあの時、素直に一緒に帰っていたら、
事故に遭ったりなんかしなかったかもしれないのに。
あたし、自分の事しか、考えてなかった…
ほんとに・・・桜小路くん、優しいのに・・・
ほんとに、ごめんなさい・・・」

「あたし、桜小路くんの一真でなきゃ、阿古夜になれないの…
やっと、あたしの阿古夜がわかったところなの。
桜小路くんの一真に、受け止めて欲しい。
桜小路くんじゃなきゃ、だめなの…」

「はやく、良くなって。待ってる。稽古場で、待ってるから。
じゃ、行くね。目が覚めてくれたらって思ってたけど…稽古場に行かなきゃ…」

そう言って、きゅ、と握り締めたあとそうっと離して、布団をかけてくれて、
音も立てずに病室を出て行った。


『桜小路くんじゃなきゃ、だめなの 』
僕の心を惹きつけてやまない、純朴な小悪魔の囁き。
でもきっと、その心は、僕の欲しいと思い続けてきた種類の心とは違うんだろう。
君の本当に好きな人は、
いちばん好きな人は、紫のバラの人だって言ってたよね?

混乱したままの頭で、じわ、と涙がわいてきた。
僕は、男なのに。




いつだって、彼女と生きていけると思ったところで
誰かにかっさらわれてしまっている気がする。
僕はいつでも、風船のように空に舞い上がっていく彼女を
地上で眺めている。
とどかない、もう手がとどかない、と思いながら。


試演まで、返事は待つよ、って言ってたけれど
どうやらもう、僕が諦めてしまうようだよ。
こんな気持ちで、僕に一真が演じられるのかな…?
君の阿古夜を、受け止められるのかな…?



男なのに…僕は、男なのに…
そう呟きながら、涙を止められなかった。
今日一日だけ、泣くことにした…






・・・グダグダになってしまいました
またもう少し続きます。
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