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片翼の天使 5
2012-02-16 Thu 01:26
今宵も

はね吉の がらすの森 ~ 思い切り迷走中… ~

 …に、お越し下さいまして、ありがとうございます!!

「機長!! 着陸する空港は見えるのですが…

      …滑走路が見当たりません!!!  」



 それでは続きからドゾ!!



*パロディというよりは、本編をはね吉風に脚色した、ってカンジです。
 ご了承くださいね…*












           片翼の天使 5



 運命の恋…魂の片割れとの出会いは、実際にはどのように感じるものなのだろう…
真澄もマヤも、お互いには全く別の場所にいると思いながら
月影が身を寄せているという、演劇協会会長の別邸に向かった。
ふたり、同時期に。
それが魂の片割れどうしの行動といえるのだが、本人はまだあずかり知れぬこと、だった。


「これは素敵な偶然ね。真澄さん、マヤ。今日はどういった御用なのかしら?」
月影は二人を交互に見ながら、ゆったりと微笑んでいる。
マヤは焦っていた。
真澄がここにいる時に、自分の本当に知りたいことの教えを請うのは心が痛む。
何より、忘れたいと思いながらも一目会いたいと願ってしまう真澄と同じ部屋にいる、というだけで
胸が暴れだしそうなのだ。

「えと…あたし…その…」
「ぼくの用事はもう済みました。ちびちゃん、ぼくに構わず話をしたまえ。ぼくはお暇しますから」

「あら、真澄さんも来たばかりだったじゃない。用事はいったいなんだったの?」
「月影先生のご機嫌伺いです。お元気そうで何より。安心しました」
「それだけ?」
「ええ。それだけ」

マヤが阿古夜を掴みきれなくて苦労をしているのを聞いていた。
黒沼の演出プランを聞いて、自分のなかにも「紅天女」への使命のようなものを感じた。
なんとしても、マヤに阿古夜を掴んで欲しい。
そのためなら自分はなんでもしてやりたい…真澄はその場を去ろうとした。

「あいかわらず、本音でものを言わない人ね。そうそう…」
「何か?」

月影は皮肉めいた笑いをむける。
病のために身体はやつれてはいるが、眼光は変わらず鋭い。

「ご婚約なさったのね、真澄さん。おめでとう。なんでも鷹宮財閥のご令嬢だとか。
あなたらしい花嫁を選んだものだとつくづく感心したものよ。
これであなたも凄い出世をされることでしょうね」

真澄は言葉につまった。
マヤの前でこの話をしたくない…取り繕うつもりはないものの、胸が痛む。
マヤもそれは同じだった。真澄の結婚は自分にとっては死刑宣告をされる気持ちなのだから。

「私との個人的な確執は別にして…
あなたの経営手腕はたいしたものだと思っているわ。鷹宮天皇も、そこに目をつけられたのね。
結婚後はあなたを自分の跡継ぎに育てようと考えているのではないかしら」

「そんな立場になってしまえば、あなたはお義父様の命令などなんとも思わなくなる。
親子だからこそこだわって来た紅天女の上演権のことなど、大きな野心の前では霞んでくるはずだわ。
なんて素晴らしいこと!! あなたの未来の奥様に感謝だわ」

それは義父とて同じ考えだったろうと思う…紅天女の件をのぞいては。
鷹宮と大都をひとつに纏め上げ経済界に君臨するのが、義父の野望でありこの結婚の大前提だった。
ただ…そのために自分自身を棄てることになるのだが。

「これは驚いた…月影先生はずいぶん僕を高く評価して下さっていたんですね!!
妻が僕にそんな出世を運んでくることになるとは思いもしませんでしたよ」

妻。…妻、という響きがマヤの胸をえぐった。
ああ、そうなのだ。
真澄が美しいあの人と婚約をした、ということは
真澄がこれから一生、あの人を妻として共に生きるのだ、と気付いた。
自分が入り込む隙間など1ミリもない、遠い世界のひとになってしまうのだ、と。

「けれど月影先生…例えそうでも、僕は紅天女だけは忘れたりはしませんよ。
演劇界の幻の名作をこの手で上演できないようでは、
鷹宮財閥の跡継ぎなどという大それた役目など務まるわけがないでしょう?
そうではありませんか?」

月影の眼がギラリ、と光る。
「真澄さん…あなた、紅天女のことをどう思っているの?
 なぜ上演したいと思っているの…?」

マヤが、青ざめてぶるぶると震えている。
思いつめた眼差しをしている。

「どうしたのマヤ?具合でも悪いの?」
「いえ…なんでもないです」
「なんでもないって顔じゃないぞ。熱でもあるんじゃないのか」

思わずマヤの額に手を当てようとする。
その手をマヤは思い切り遮った。

「さわらないで!!」

「もう…あたしに構わないで下さい、速水さん…
いつも紅天女の上演権を手に入れることしか頭に無くて…
今日だって月影先生を心配するふりをして偵察にきたんでしょう?
あたしにも優しい言葉をかけたりするけれど、本当は何を企んでいるのかわかったもんじゃないわ!
もうたくさん…あなたに振り回されるのは…!
もう二度とあたしの前に現れないで下さい…!!」

「ちびちゃん…」

「あたし、もう帰ります。先生にも会えたし」
「待ちなさいマヤ。何か用事があって来たのでしょう?言ってごらんなさい」

マヤは真澄を見ようともしなかった。…見られなかった。
速水真澄としてなら、吐き捨てた言葉もうなづける。
ただずっと陰から見守り続けた紫のばらの人への言葉だとしたら深く傷つけたのかもしれない。

「あたし…あたし本当は…魂の片割れとの出会いってどんなものなのか教えてほしくて、ここに…」

(何だって…?!)
苦しそうに呟くマヤを、驚愕の思いで見つめた。
まさか、自分と同じことを聞きにここを訪れるなんて…

「歳も身分も関係なく、出会えば互いに惹かれあい求め合う…
出逢うためにこの世に生まれてきたあたしのいのちの半身について…。
でももういいんです!あたしはきっと出会えない!いのちを分けた人になんて!!」

マヤは自暴自棄になっていた。
自分は恋しくて恋しくて、演技すら出来なくなってしまったのに。
さびしくて悲しくて胸が痛くて、身体を引きちぎられてしまいそうな思いだったのに。

「速水さん、よかったですね!素晴らしい魂の片割れに出あって。
世界で一番幸せな結婚を出来るんですもの。これで世の中の総て、自分のものに出来るじゃないですか!
でも…でも…あたし絶対…」

マヤは真澄に向き直った。瞳に大粒の涙がこみあげる。
自分が放った言葉に、自分も同じように傷つきながら。

「あなたみたいな人には、絶対に紅天女は渡さない!あなたの思いどうりになんてならないんだから!!」

一瞬にして、真澄の身体が冷たくなった。
凍った心に、大きくひびが入り…生きている実感が消えていく。
マヤも同じ…小さく失礼します、と挨拶をして、振り返ることも無く屋敷を出た。
なぜ真澄が、紫のばらの人でないといけないのか。憎みきれず、想ってしまうのだろうか。

「随分と嫌われたものね、真澄さん。天敵なのかしらね、あなたとマヤは」
「そう…そうかもしれません…」

自分がどんな顔をしているか想像がつく。
表面ではまったく意に介していない無表情…。
およそ悪魔に魂を売り払った後の、虚無の廃人のようなのだろう。

「マヤがいなくなったところで…あなたのやってきた本当の理由を教えてもらえないかしら?」

冷たい笑みが、真澄の頬に浮かぶ。
月影は真澄を研ぎ澄まされた三日月のように冷たく美しい顔だ、と思った。

「そう…そうですね、月影先生」

マヤを愛していた。激しく、深く。
その人を失った悲しみや喪失感は、一生消えないし、傷が回復するはずがない。
回復なんてしなくてもいいのだ。
そんなあきらめの感情が溶けた暗い光をたたえた眼差しで、月影をみつめる。

「実は僕も…魂の片割れについて教えていただきたくて来たのですよ…」

「まぁ!あなたが最も信じていなさそうな事なのに、そんな冗談を言って!!
 おかしいこと。天敵どうしでも同じ事を考えるものなのかしらね?」
「そうです…まったくです、月影先生…」


真澄の乾いた笑い声が、屋敷に響き渡った。









           つづく。




く、くるしい…
むねがイタイ…

次回…このあと本編では紫織の悪だくみが連続するのですが…書くのもツライので…
うううう。

でも、指輪事件もドレス事件も、ビリビリ事件も起こることは起こるんです。
書く気がしないんだけど。

…スルーしてもいいかな…?だめ?

本音はカンベン、って感じですが…

ご意見よろしくです><。




では、今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように><。





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2012-02-16 Thu 20:18 | | #[ 内容変更]
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