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片翼の天使 8
2012-02-27 Mon 00:51
今宵も
 はね吉の がらすの森 ~真澄さんの目、8分の5になりましたよね~

…に お越し下さいまして ありがとうございます♪


今宵はさくっとお話に入ります…


では、続きからドゾ!









               片翼の 天使 8




バッグの中に、紫織の指輪を見つけた時に、マヤは震えがきた。
なぜ、なぜこんなところにこんな大事なものが入っているんだろう…!!
冷静になって考えると、思い当たる出来事はあった。
どうして連絡したものか…。

そうしているうちに、アパートに電話がかかってきた。
紫織本人ではなかったが、およそキッズスタジオなどに問い合わせたのだろう。
「お嬢様がマヤさんに渡したい物があると仰っています。
明日、10時45分にヴェアミングパレスビルにお越し下さい」

婚約指輪を無くしてしまった、もしや知らないか、などという質問は、
お嬢様の立場では言えないのだろう、と理解した。
元来マヤは過ぎる程にお人好しだ。簡単に騙される。簡単に嵌められる。

教えられて到着したビルは、結婚式の総合プロデュースする会館だった。
気がついて、心が沈んでいくのを感じた。
通された部屋のドアを開けると…
全身に幸せを纏った、美しい紫織がこちらを向いて微笑んでいた。


仮縫いとはいえ、見たこともないような艶の絹をふんだんに使い
真珠や目映くかがやくビーズの刺繍が施されて。
白い肌に映える白金のネックレスには大粒の宝石が輝いている。

ああ、お姫様だ。
速水さんは、お姫様と結婚をするんだ…。
…あたしだって、お姫様になったことはある…だけど。
だけどあたしは、舞台の上でしか、お姫様にはなれない…
舞台の上、だけでしか。

「よく来てくださったわね。このままでもよろしくて?」
「あ…はい…。ウェディングドレスですよね?それ…すごくお似合いです!」
「まぁ、ありがとう」

紫織はマヤの心の内にある真澄への想いに気がついている。
マヤに、真澄への想いは身分違いであると解らせなければならない。
いくら想っても、届かないのだと。
真澄に相応しいのは、あなたではなく、私なのだと。

「お姫様みたい…本当にきれい…」
「まぁ。真澄様もそう言ってくださるかしら?」

真澄が紫織に向かって、「きれいだよ」と優しく囁く姿が目に浮かぶ。
身を切られるように、心が痛い。

「ええ…きっと…」

紫織はマヤの声が強張るのを聞いて、小気味良かった。
これからもっと、痛めつけてやらなければ…。

「さ、ここまでにして、お茶にしましょう。おいしいお菓子もあるのよ。
わたしはブルーベリーのジュースを。マヤさんは?同じものでもいいかしら?」
「あの、あたしすぐに失礼します。稽古もあるので…」

紫織は聞かずにすすめていく。ドレスについての細かい調整と注文をつけ、幸せな花嫁をアピールする。
店員が退室して、部屋に二人きりになる。
約束の時間…ピッタリのタイミングだ。

「あの、その前に大事なものを…」
マヤがバッグの止め金を外し、中の指輪を取り出そうとした。

「マヤさん…ちょっと…気分が…飲み物を持ってきて下さる?…」
「たいへん…!だいじょうぶですか?」

靴音が聞こえてくる…真澄の。
いつもの颯爽とした靴音。
マヤがジュースを持って駆けつける。
「さ、どうぞ…!」

「あり…がと…」

手を伸ばしてジュースを受け取ろうとする時に、ふら、と眩暈がする。
…という詐病を。
倒れまいと何かに掴まろうとして…
ジュースを持つマヤの腕と、華奢な肩にしがみついた…。

「しお…り…さん…?」
肩で息をする紫織がその場でしゃがみこんだ。そして二人の目に飛び込んできたのは、
肩から胸、腰にかけて青紫に染まった、ウェディングドレスだった。

紫織が金切り声をあげる。
靴音が急に早くなり、大きな音をたててドアが開く。
「どうしたんですか!紫織さん!!」

そこには、愛しくて恋しくて仕方のない、真澄の姿があった。







部屋に飛び込んだ時に目にはいったのは…
紫織よりも、ここにいるはずもないマヤの姿だった。
青ざめて細かに震えているマヤの手には、ドレスの染みと同じ色のジュースのグラス。
その状況だけで見て、紫織のドレスに染みをつけたのはマヤだとしか思えなかった。

「どうした…?なぜこんなところにいる…?彼女に何を…した…?」

次々と畳み掛ける真澄の質問に、マヤは何も答えられなかった。
どうして…?どうしてこんなことばかりが起こるの…?

「言ってみろ…!彼女に何をしたんだ!!」
「真澄様、違います…私気分が悪くなって、マヤさんにしがみついて…
 …あ…でも…こんな…ひど…い…!」紫織は泣き崩れた。

店員が悲鳴を聞きつけて駆け込んでくる。
マヤを口々に罵る。誰もがマヤがわざと騒動を起こしたと思い込んで。
真澄が青ざめて自分を睨みつけているように見える。
わざとじゃない…そんな怖ろしいこと、あたしがするわけないじゃない…
そう心で叫んでも声に出ない。身体が動かない…。

「あなたにどうこうできる物でもないわ!さ!出てお行きなさい!」
「早く!!つまみ出しますよ!!」
店員がバッグを投げるようにして寄越した。
身体の動かないマヤは到底、受け止めることが出来ない。
行き場を失ったバッグは、マヤの足元に転がった。

止め金を外してあったバッグの蓋は開き…
寸前まで持ち主の手に帰るのを待っていた婚約指輪が転がり出てきた。
「あっ…」初めてマヤの声が出た。
それを真澄が見咎める。
「なぜ…なぜこれが君のバッグのなかに…?」
「どうして紫織さんの婚約指輪を君が持っているんだ!どういうことだ、言ってみろ!!」

「知りません!いつの間にかバッグに入っていて、返そうと思ってここに来たんです!!」
「指輪が自分から君のバッグに入って行ったとでも言うのか?!
 嘘をつくならもっとマシな嘘をつくんだな!!」
「嘘じゃありません!ほんとに何も知らないです、あたし!!」
「これだけの証人がいるんだ…俺だけが見た幻じゃないんだ!」

真澄には訳がわからなくなっていた。

マヤがそんなことをする娘ではないことは、自分が一番よく知るはずだ。
このなかで、マヤをかばってやれるのは、自分だけだということもわかっている。

しかし。

月影の前で、この子は言ったではないか。
自分に振り回されるのはもうたくさんだ、と。
二度と姿を見せるな、と。
自分の思いどうりになんて、絶対にならない、と。

梅の谷で、甘い幻を見た。
嵐の夜、一晩中腕に抱いていた。
あの夢を見た後のマヤの拒絶は、今までで一番の痛手となっていた。
孤独の闇を生き始めていた真澄の心は歪み、
愛する娘を傷つけることで心の接触を図ろうとしたのかもしれない。

「紫織さんをこんな目に合わせて…嫌がらせにも程がある…
信じられないよ…君がこんなことをする子だとは思わなかった…
いや、君が俺を憎み、恨んでいることは解っている…それをはらすつもりだったのか?」

「速水さん…!」

「だったら、俺だけを!! 
 …俺だけを憎んで…俺だけに…恨みをはらせばいい!!
 …俺の婚約者を…巻き込まないでくれ…!!」

真澄は感情を昂らせて声を張り上げていたが、
最後の言葉は哀願かと思うような、苦しく搾り出す声だった。
目が血走っているのは、怒りか…悲しみか。

そこまで感情を露わにする真澄は初めてだった。
そこまで真澄を怒らせてしまったのか。
そこまで、紫織を守りたい、と思っているのだろうか。
紫織を愛している、ということなのか。

そして。

こんなにも真澄を怒らせてしまった。
もうどんな言い訳も出来ないのか。
自分を恨め、と言われた。
愛する想いを知ってしまった以上、真澄を恨むようなことは出来ない。
マヤの時間が、止まった気がした。


速水さん…紫のばらのひと…
あなたはこんなにも、その人と愛し合っていあるのですね…。
あなたに嫌われるということが、こんなにつらいことだなんて…。






           つづく~~~~~TT




ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああ消耗したあああああああああああああああああああ!!


すんごく落ち込んだ展開の後は、
過去作のゲロ甘やゲロエロ、あるいは
某様や某様や某様の美&優&笑作品で リセットしてから次の作業に移ってくださいね~~~!!

ワシも今から某様の投票所でコメしてきます♪


それでは今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように!












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この記事のコメント
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2012-02-27 Mon 17:23 | | #[ 内容変更]
うああう~~~~~!!
恥ずかしくって火を噴いております!!ありがとうございます!!
「憎しみの独占」、まさにそのとおり!ワシも同じように感じ、マス台詞を「追加」したのです。
「俺だけ」。切ない恋心…ついにここまで来たか、って感じですね。萌えますね。
「紫バラ伝説」の終焉、これはなかなかううむ、深い、と思って驚きました。
残念なことに、マヤたんには伝わってはいないですね~暴漢から守られて、やっぱり神格化してしまった。
そうなると、恋とは縁遠くなってしまうのではないだろうか?…ってところを書いていくのですが。(ネタバレ!!自分でばらすな)
ある意味、人が良すぎてもおおおおおおおぅっ!!ってイライラしてしまうくらいのマヤたんですが…
その、マヤたんの複雑な性格を反映していけたら、と思っています。
ありがとうございます!!
2012-03-10 Sat 22:47 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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