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片翼の天使 10
2012-03-08 Thu 02:39
今宵も

 はね吉の がらすの森 ~連載がこんなに長いのは初めてです~

 …に、お越し下さいまして、ありがとうございます!



 思えば、今までで一番長くて初パロの「ひとつのまこと」(9回)でしたから、
10回で、まだ「承」の部分、ってのが怖ろしいですね…

けど!今のところ「原作のナゾリ」ですから!!創作ってわけじゃないから!スミマセン!
そろそろ「あれ?1話で里美君出てきたけど…あれって?」な声が聞こえてきましたし><;

そろそろ、じわじわとはね吉風味を効かせて参りますよ~^^



では、続きからドゾ!!










         片翼の天使 10



傷だらけで気を失った真澄を警備員が二人がかりで社長室に担ぎこんで、マヤは救急箱を受け取った。

「紫織様はショックで貧血を起こされたので、医務室でお休みいただきます。
 社長をお願いしても本当によろしいんでしょうか?」
「大丈夫です…ありがとうございました」

自分のハンカチで頭の傷を押さえ、止血する。出血した割には傷は小さく、安心して消毒をする。
目立つ傷はここだけだが、身体は痣だらけになっているだろう…
ネクタイを緩めて、顔の汚れを濡らしたハンカチで拭う。

気絶したままの真澄を手当てしながら、阿古夜と一真の出会いを思い出す。
半殺しの目に遭って行倒れになった一真を、阿古夜もこんな気持ちで介抱したのかもしれない。
愛しくて恋しくてたまらない男に、心を込めて手当てをする。

想いが湧き上がる。
自分の為に身を投げ出して守ってくれた、
真澄の大きさ、優しさ、強さ。
紅天女をめざしていることをこんなに尊重して支えてくれるのに、
「自分が真澄の片割れではなかった」ということだけで、その真澄を疑ってしまった、自分…

紫のバラのひととしての真澄の真心は、きっと結婚しても変わらないはずだ、と思える。
それで、いいのだ。それで。

自分にとっては、たったひとりの、運命のひと。
多分、この恋を忘れることは出来ない。
愛することも、憎むことも、両方を味わったこのひとだから。
新たに恋をすることがあっても、きっと真澄以上に愛せるとは思えない…。

それでいいのだ、それで…。
真澄から、紫のバラのひととして以上に…思われなくてもいいのだ。
それだけで、自分は幸せなのだ、と。


阿古夜の愛のせりふが口から溢れる。
いま、まさに阿古夜の想いはマヤの想いになっていた。
真澄の手をとり、自分の頬に当てる。暖かい掌。
この掌が、しっかりと肩を抱きしめてくれた。
髪をくしゃ、としてくれた。あたたかい心で。

愛しい恋しい想いで額にくちづける。
涙が真澄の頬に、額に、くちびるにこぼれてしまう。
愛の言葉を語りながら、頬に額におちた涙を吸い取ってゆく。

そして。

「おまえさま…わたしのいとしい…おまえさま…」

真澄のくちびるにおちた涙を、マヤはゆっくりと吸いとる…
一生分の、口づけを。
今までの、これからの、想いの全てを込めた口づけを。








身体が…うごかない…

全身が、じんじんと痺れて…。
自分の身体と周りの空気の境界線が、細かに震える麻痺で、わからなくなっているようだ。

雨が、降りかかる。
冷たい雨ではない…梅の谷に降るような、甘く匂うようなあたたかな雨。
傷ついたおれを、優しく癒すかのような、優しい雨が降りかかる。

阿古夜の愛の囁きが聞こえる…。
優しく胸に迫る声。傷にまで効いていきそうな、慈愛に満ちた言葉だ。
おれの耳元で、優しく、何度も繰り返し。

ああ…阿古夜…泣かないでおくれ…。
おれは、大丈夫だから。
こんな傷、たいしたことないのだから。
おまえがこうして優しく手当てをし、
優しく囁き、そばにいてくれるならば、すぐに癒されるのだから。

ああ、阿古夜…この雨は、おまえの涙だったのか…

おまえはおれの顔におちた涙を
一つづつ吸い取ってくれるのか?
ああ、ならばもっと、
おれの側に居て泣いておくれ…。
もっとおれの身体に、涙の雨を降らせてほしい。

もっと…おれのくちびるに…涙を注いでくれないか。

甘く柔らかいくちびるが、おれのくちびるに触れる。
ああ、おれは、このくちびるを知っている…
小さくて、うぶな乙女のくちびるを、
おれは夢心地で吸い返した…。







「…あなたは…あなたはここで何をしているの?!」

口づけを終えて、顔を上げると悲鳴じみた声がした。
紫織が青ざめてドアに立っていた。

「あなたが…あなたのせいで、真澄様は大怪我をなさったのよ!
 あんなところで待ち伏せなんかして…暴漢を差し向けたのもあなたではないの?!
 あなたが居ると、真澄様は迷惑なのよ!!わかっているの?!
 出て行って…もう二度と、真澄様やわたくしに近づかないでちょうだい!!」

秘密の口づけを見られてしまったのだろうか…
紫織は怒りに震えていた。このまままた倒れてしまったりするのではないか。

「ごめんなさい…あの・・・助けていただいて…ありがとうございました!
 すみません…失礼します…!」

紫織の横を逃げるようにすり抜けて社長室を出た。

もう、紫織さんに任せれば大丈夫…速水さんは大丈夫だ…。

夢のような時間は終わった。
真澄の柔らかなくちびるを、きっと一生忘れない…。
真澄の為に、日本一の女優になる…かならず・・・・。

心に誓いながら、涙が次々と浮かんで流れた。
嬉しかった。幸せだった。
けれど…涙は苦い味がした…
真澄のくちびるに乗った涙とは…まったく違う、苦い涙だった…







             つづく。




どうだ!!


ちょっと最後、せつなかったね><。



いよいよ、これで「ナゾリ」は終了です!
次回からちょっとづつはね吉風味が加わってきますよ。

テキトーに捏造でナゾリやがって!!って思われてたら、ゴメンナサ~~~~イ!!




それでは今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように…><。







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