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片翼の天使 9
2012-03-05 Mon 01:53
今宵も

 はね吉の がらすの森 ~脳内変換、推奨…~

 …に、お越し下さいまして、ありがとうございます!

ずーーーーーっと、原作本編のなぞり、を続けています、「パロディ」?聞いて呆れます、状態…
ほんとにごめんなさいです。
原作の行間、白目を埋めながら(スゴイ皮肉!!ゴメ!)やっぱり萌え萌えしてますよ。
あと、アニメで変換しながら。萌え~~!!




  それでは、続きから、ドゾ!!





                片翼の天使 9




   こんな気持ちは、真澄の婚約パーティー以来だった。
身体に力が入らない…肩に、背中に重い空気の固まりが乗ったのか、膝からくず折れてしまった。

何の包装もない裸のボール箱と、それに不釣合いな紫のバラ。見た途端、嫌な予感がした。
パンドラの箱にしろ、玉手箱にしろ、「開けてはいけない」箱は人を誘う妖しさに満ちている。
けれどその箱は、あまりにそっけなく、粗末で、
いつもの紫のバラの人からの贈り物にはない、冷たさに包まれていた。

「これが最後のバラです。あなたに失望しました。もう舞台を見ることもないでしょう」

らしくない、言葉。
信じられない…。

急いで箱を開けると、紫のバラの人に贈った、心尽くしのアルバムと引き裂かれた写真たち…
それは、自分が支えられてここまでこれました、と感謝を伝える証。
紫のバラの人と自分を繋ぐ歴史。それが無惨にも引き千切られている。
アルバムの中は、写真のかけらがついたものや台紙が薄く削がれた跡が残る酷いものだった。
およそ、怒りに任せて手当たり次第に引き剥がしたというような、憎悪のあとが見える…

まさか。まさか紫のバラのひとが?
速水さんはこうまでするほど、あの時怒っていたのか…?
そこまで自分は、嫌われてしまったのだろうか…?

嫌われる、ということがこんなに辛いことだとは、わからなかった。
人から笑われたり、能無し、と邪険にされることも悲しかったけれど、
嫌われる、ということは無かった…。

自分は、何度真澄に向かって「大嫌い!」と叫んだことだろう。
辛く当たって、睨みつけたことだろう…
自分に目をかけて、全てを支援しながら、罵られる気分は、さぞ残念だったに違いない…。
だから。
だからあの事件は真澄の堪忍袋の緒を…切ってしまったのかもしれない…。

でも。
自分は何もしていないのだ。
全て、悪いほうに悪いほうにと転がっていって…。
自分はそんなことを考える、悪い子じゃない…!
どうしたら信じてもらえる?

泣きながら考えた。
考えながら泣いた。
真澄に見捨てられたら、何を支えに演劇をしていくのか。
例え真澄が結婚をしても、紫のバラさえあれば繋がっていられる、と思っていたのに。

ぽっかりと空いた心に、真澄を想う気持ちだけが熱く動き始める。
真澄の事を、諦める事はできないのではないか…。
どうしたらいい…?
どうしたら…。

そうしているうちに、マヤの足は自然と真澄のいるはずの大都芸能のビルに向かっていた。







仕事を急な紫織の来訪で中断せざるを得なくなった真澄は、
自宅で出来ることを頭の中でピックアップしながら駐車場に向かった。
日曜をデートに当てる為に、それまでの仕事を前に詰めるのも必要だ。
…紫織を送ったらまた社に戻るほうが賢明か。

自分の車の横に、人影が動く。
驚いて見ると、マヤだった。泣き出しそうな弱気な表情は、初めて見る。

心ならずも酷い言葉を使ったと後悔していた。
自分の放った言葉で、自分自身をも傷ついていたのだから、マヤも辛かったのだろう、と思った。
けれどこのような状況になってしまった以上、「この間はすまなかった」とは言えない。

「こんなところで何をしている。もう深夜だぞ!」
「あなたの出てくるのを待っていました…」
「言い訳か。それとも文句を言いに来たのか。まさか謝りに来たんじゃないだろうな」

真澄の態度に、本当に怒っていたのだ、とあらためて感じて、マヤは身体を硬くした。
なんとか本当のことを伝えたい。わかってもらいたい。…自分を見捨てないで欲しい。

「そのどれでもありません。この前はちゃんと伝えられなかったから…
あたし…いままであなたに悪態ばかりついてきたから、信じられないでしょうけど…
この間のことは、どうしてあんなことになってしまったのか全然わからないんです。
でも、信じてください、あたしの事・・・!
あたしは、あなたや、あなたの大事なひとに悪い事しようなんて考えたりしません!
あたし、あなたに恨みをはらしたりするような子じゃない…信じてください!
だって…
だってあなたはあたしの大切な…大切…な…」

マヤの大きな瞳に、涙が溢れる。
涙が出ると、言葉はとどまる。
言えない。
「あなたはあたしの大切な紫のばらのひと、だから…」
そのひと言は、絶対に言うことは出来ない。

マヤの言う「大切な」は何にかかるのか。
自分を形容する言葉のなかに、いままでそんなものは無かった。
特にマヤからは望んでも望んでも、絶対に手に入るものではないはずなのに。

顔色の変わった真澄に、何も言えなくなって逃げようとした。
しかしその言葉にすがるように、真澄はマヤを捕まえる。

「大切な…なんだ?どういう意味だ?何故泣く?なぜ逃げる?
俺に話したくて待っていたんだろう?ちゃんと言ってみろ!!」

痛いほど腕を揺さぶられた。
どうしてそんなに責めるの?
本当のことを…自分が言ってしまっても…あなたは困ったりしないの…?
真澄の怖いほどの気迫にマヤが折れそうになったとき、
暗闇から柄の悪い声が聞こえた。


「おれ達ゃ正義の味方でね。ひと様の大切な商売道具をかっさらって自分のものにしようなんてズルイ奴が許せないんでね」
「ちょっと痛い目に遭わせてやらなきゃ、腹立ちが収まらねえのさ」
「ちょっと顔貸してもらおうか」

真澄はマヤを去らせようとした。
行こうとしたほうに輩は立ち塞がり、手を伸ばしてマヤの腕を掴む。

「おっと。用事が済むまでここにいてもらおうか。人を呼ばれちゃ困るんでね」
「いや!離して!」
「マヤ!」
「おっと…見たことのある顔だ。大都さんとこのタレントさんかい?
ちょうどいい、自分ちの商品を奪われる気分ってのを味わってもらおうじゃないの」
「離せ!この子は関係ない!」

そう叫ぶや否や、マヤを捕えている男に体当たりをして奪還をする。

「この子に指一本触れるな…!この子は大都芸能に何の関わりもない!
大事な舞台を控えてるんだ。かすり傷でもつけたら、ただでおかんぞ!!」

無我夢中でマヤを抱きしめた。マヤも真澄にしがみつく。
暴漢を前にして、マヤはブルブル震えていた。

「じゃあ、傷がつかないようにシッカリ守ってやんな、社長さんよ~」
「心配するな、おれ達だって命をいただこうってわけじゃない。
ちゃんと手加減してやる優しさってもんを持ってるつもりだ」
男が棒のようなもので殴りかかってきた。
マヤを自分の後ろにまわし、正面から男に殴られる。
「ううっ!」
「速水さん!!」
額に血が流れる。
真澄は自動車にマヤを押し付けて背中を男達に向け、盾となった。
「速水さん!だめ!」
「バカ!動くな!紅天女を演るんだろ!それを忘れるな!ケガをしたらどうなる!」
「でも、速水さん、いや!こんなの、ヤダ!!」
「おれは大丈夫だ。自分の事だけ考えろ!」

「さすが、見上げた根性だ!一流プロの社長さんは身を挺して商品を庇うんだな!」

男達は真澄をメッタ打ちにした。
始めに言っていたとおり、致命傷になるような急所にはあてては来ないが
棒で真澄の身体を打ち、突き、殴った。

真澄は少しでもマヤが自分の体に隠れるように、しっかりと抱きしめた。
打たれながら、呟く。

「だいじょうぶだ。俺が守る。おまえを守るから。大丈夫だから…」

真澄に抱きしめられるのは何度目だろうか。
すべて、自分を守るためだった気がする。
身を挺して自分を守ってくれる、広い胸。力強い腕。
どうしてここまで自分を守ってくれるのか。
ここまで、身を挺して自分を守ろうという人が
思い出の写真を切り裂いたりするだろうか?
「舞台を見ない」とまで言っている人が、「大事な舞台を控えてる」などと言うだろうか?

ちがう!
あんなことをしたのは速水さんじゃない!
紫のバラのひとが、あんな酷いことをするはずがない!
誰がそんなことをしたか、なんてどうでもいい…
速水さんだけは絶対に、そんなことはしない!
速水さんじゃなかった…!
速水さんじゃないんだ…!

マヤの目から涙が流れる。

「やめて!!もうやめて!!やめて―――――!!」

声を聞きつけて警備員が駆けつける。暴漢達はさっさと姿をくらませた。

「マヤ…大丈夫か…ケガはないか…?」
「はい…大丈夫です…」
「そうか…よかった…警察は呼ばないでくれ…この子を巻き込みたくない…」

完全な盾となっていた身体は満身創痍だった。ゆっくりと力が抜けていく。
マヤをしっかりと抱いたままズルズルとうずくまり、真澄は気を失ってゆく。
耳に、マヤが自分を呼ぶ悲痛な泣き声を聞きながら…。
小さくて、華奢で、柔らかい感触をかんじながら…。

真澄の意識は、ゆっくりと闇の中に沈んでいった。





                 つづく。





これもUPまで時間がかかりました。
いつもの5倍くらい・・・!

紫織さんはちょっと登場を控えていただきました…というよりも、
この場面に居ることは居る、のですがあえて書きませんでした。
二人にはわからなかったでしょうから。
でも、読者の皆様は紫織さんはいたのね、って認識しておいていただきたい、です

痛いけど、萌えるシーン、ですね。
もちろん、某30絵のあの絵を 脳内で挿絵として思いおこしていらっしゃることでしょう…^^b

さ、次回もナゾリ、です!!
目いっぱいロマンチックに書きたい!!



えと、「1周年記念お題」ありがとうございました!
22名様、130お題戴きました!!
発表までもうしばらくお待ち下さいませね~☆

どうしようかな、「片翼」完結後にお題に取り組んでたら新鮮さが無くなるし~><
「閑話休題」で挟みますか~^^





それでは今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように…!















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この記事のコメント
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2012-03-05 Mon 12:51 | | #[ 内容変更]
ほんとに…ありがたいです!!ああああ!
止めのビリビリ写真事件。怖ろしいですね。もう、動かしようの無い憎しみの証拠、ですよね。
さすがに全部切り裂くのは出来ませんよ!(出来て1枚でした!てへ☆…ってやったことあるんかい!!しかもシュレッダーでした。手で千切るのはどうも抵抗が…ってシュレッダーは残酷じゃないのか?)
あと、「相性」ですね。紫織さんにとって、速水さんは「さげちん」っだたのかもしれませんよね。
(性交渉が皆無でもやっぱり…ちん、って表現されるもんなんでしょうか?)
人間的にじぶんの短所がクローズアップされてしまう相手…なのに心魅かれてしまう相手。
切ないですね。紫織さん、いくら頑張っても真澄さんだとあなたの良さは引き出されません。
素敵な、「出来たお方」がいるはずです!
それから・・・「言い訳しない速水さん」カコイイですね。
謝り方を知らん、ってのも「したくても言い訳できない性格」から来ているのでしょうか?
だから「約束を絶対に守る」男なのかもしれません…
「言い訳しない・出来ない」というのも、彼が「言い訳できない」育てられ方をしてきたからだ、とは思うのですが。…それも切ないなぁ…

2012-03-10 Sat 23:24 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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