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片翼の天使 12
2012-03-15 Thu 00:55
今宵も

はね吉の がらすの森 ~やっぱりキツイのはツライかぁ><~


 …にお越しいただきまして、ありがとうございます☆



今宵は紫織推し、です。
懐かしい青春の痛み…なのかもしれません。
ご感想、お待ちしてます^^








それでは続きからドゾ!





               片翼の天使 12



紫織は祈るような思いだった。
恥を忍んで真澄に契りを結びたいと訴えるつもりだった。
婚約をしているのだから、何も問題は無いはずなのだ、普通は。
そこで実際に真澄が望みを叶えてくれるのか…
その結果によっては、この恋を諦めるべきなのかもしれない、と考えていた。

計算違いだったのは、この場にマヤがいること、だった。
この子がいることで、真澄の考え方、感じ方に差が出るのはあきらかだ…。

牽制をかけるつもりで、マヤにはすでに真澄と関係している素振りを見せた。
マヤはあっさりと真澄に「もう、仲がいいんですね、まったく!!」と笑っている…
反面、真澄の表情が固く引きつっているのを、紫織は見逃さなかった。

「それで…何の御用だったのかしら?」
「あ、そうだった、これ、お返しします!こんなもの、いただく理由はありませんから!」

「何なんだ?これは…?」

「紫織さん、心配されなくてもあたし、速水さんや紫織さんにこれ以上迷惑をかけるつもりはありません。
 この間の指輪の事だって、何故あんなことになったのか…
 あたし、いくら貧乏だって、盗みをするような人間じゃないです!
 近づくな、と言われれば絶対に近づきません。
 でも、これをやるから近づくな、なんて…心外です!
 お金で動くような人間じゃないです,あたし!」

マヤは黒沼が怒っていたことを思い出して、二人分の怒りをぶちまけた。
まるで、真澄の社長室に奇襲をかけた時のような勢いで、しかし相手が紫織なので、丁寧に訴えた。
悔しい握り拳が、宙を舞う。
真澄の表情がますます険しくなった。

「どういうことですか」

マヤが湯気でも立てそうな気配なのとは対称的に、真澄は冷徹になっていく。
そんな表情を見るのは、紫織にとっては初めてだった。
いつも微笑みを絶やさず、柔和な雰囲気の真澄は理想の男性像だった。
その美しい顔から微笑みは消え、眼光が鋭くなっている。
紫織は真澄の変貌に気圧されて逃げ腰になる。

「た…滝川がしたことですわ。わたくしは、暴漢に襲われたのにマヤさんを庇って
大怪我をされた真澄様が心配で…またこんなことがあったら困る、と言っただけなのです」

真澄は二人の間に入って、ピッ、と小切手を取り上げ
二人の目の前で3回破いた。大きく、乾いた音が響いた。

「ぼくにとってもそれは余計な心配ですね。これはキチンとぼくからお返ししますよ、紫織さん。
 …それでいいか?ちびちゃん」
「あ…ハイ。あたしはお返しできたら、それでいいんです」

マヤにとっても紫織にとっても、真澄の苛立ちが見て取れた。
固い表情はこちらの心まで凍りそうだ。

「…じゃ、あたしは失礼します!
 デートの時間をお邪魔して、スミマセンでした!!」
ぴょこん、とお辞儀をしてマヤは部屋を飛び出し、従業員に丁寧に礼を言って下船した。
涙を堪えるのに、必死だった。






ロイヤル・スウィートの二人は重苦しい空気に包まれていた。
冷たい表情のまま、真澄が口を開く。
「紫織さん…正直なところ、ぼくは不愉快です」
紫織は真澄の表情を見られなかった。真澄の怒りが自分に向いているのは、いたたまれなかった。
他人から怒りの感情で見られることなど、紫織にとっては初めての経験だった。

「北島マヤとの関係は、ぼくの仕事上の問題です。いくら結婚するからといって、
 あなたが首を突っ込む場所ではない、と 今から申し上げておきましょう」

「あの子は芝居をするために、女の子の青春の全てをなげうって険しい道を歩んできた、
 ただただ純粋な子なんです。それを金の力でどうこうしようなんて…。
 例えあなたが考えたことでなくても、寂しいものを感じますよ。
 ぼくの仕事全般に対しても…ちゃんとご理解いただけているのか、いささか心配になりますね」

「そんな、真澄様…」

「それに」

真澄の中に、「紫織をもてなす」という使命感が消えた瞬間だった。

「今日のデートの内容ですが。
 あなたは結婚前に、身体の関係をお望みになるのですか?」

今となっては、紫織はそのことに触れてほしくは無かった。

「男のぼくがいい歳をして、口づけすらしようとしない…だからですか?
 ぼくは勝手にあなたを慎み深い方だと思っていたのですが…
 案外くだけた考え方をお持ちだった、ということですね」

真澄の片頬が冷たく微笑む。
その微笑が、明らかに今までと種類の違ったものであることを
紫織も認めざるを得なかった。

「少なくとも…今日ぼくはそんな気にはなれません。
 この部屋はあなたがお使いになって下さい。ぼくは他に部屋が無いか聞いてきます」

「真澄様…初めて本音で話してくださいましたわね…」

「申し訳ありません…ぼくは本当はこんな人間ですよ」

そう言いおいて、真澄は部屋を出た。
そして真っ直ぐタラップを降りる。もともと部屋を聞く気など無かった。

紫織ももう真澄が船のイベントや食事に誘いに現れるとは思っていなかった。
すぐに下船するだろう、と思っていた。
そして後から、会社から急な仕事で呼び戻された、と詫びてくるのだろう。

賭けに負けた、と。
いくら自分の操を懸けても、振り返ることはしない男を好きでいることは
紫織の幸せの条件に合わないのではないか、と思う。
あんな蔑んだような笑みを見てしまえば、結婚してからもそれをおそれて
純粋に愛することなど出来ないのではないか…?
少なくとも自分は、他人からあんな目で見られるような教育を受けてきたのではない。
鷹宮のプライド、というものがある。

…確かに、自分のしてきたことは「プライド」を捨てて悪魔に身を委ねたようなことだった。
振り返ると我ながら怖ろしいとまで思う…。

紫織は一人、部屋で泣き続けた。

ベッドで泣き、海を見て泣き、星を見て泣いた。
漆黒の海を照らす月光の道を見て泣いた。

本当の自分自身を取り戻す為に。
悪魔に渡したからだに、自分の心を呼び戻す為に。

真澄とのダンスで、優しくエスコートされた日が懐かしかった。
「ぼくだけを見ていなさい」と言われた日が、懐かしかった。
真澄の瞳も、自分だけを見ていると信じていたあの日…。
多分、そんな日はもう戻らない…。

ベッドで泣きながら眠ってしまい、夜明けに目覚めた。

新しい、美しい朝焼けだった。





          つづくTT





 ちょっとものわかりのいい、シオリンです。
 本来はこんな人、なんじゃなかったのかなぁ…って思います。




 それでは今宵はこのへんで。サクサクUPしなきゃですね~~><
 明日もいい日でありますように…☆












 
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この記事のコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-03-15 Thu 20:03 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-03-15 Thu 23:47 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-03-17 Sat 09:05 | | #[ 内容変更]
あは~、○様、紫織さんはことごとく苦手、なんですね><
いえ、いっぱいいらっしゃると思いますよ、紫織NGさん。
すみません、延々紫織推ししてて><
ワシも「原作紫織」は嫌いですよ、いぢいぢしてて、「いやですわ、おからかいにならないで」って
も~~~~~!って後ろ髪わしゃわしゃ!!ってしてやりたくなっちゃう。
しゃきっとせんかい!!って。むき――!ってなっちゃう。

「恋愛の機微をわからない奴」なんて思わないですよ~^^
真澄氏はきっとね、自分がそんな台詞を言ったら女が骨抜きになる、なんて自覚は全く無いヒト、だったんだと思います。(しかし気障な台詞ですよね。天然ホストとかジゴロですね。死語!)
誰でもイチコロなのさ!!真澄氏に罪もないのさ!だって自覚無いんだもん!!
そのへんは共演者殺しのマヤたんと大差ナシ!!

まぁ…ある意味…原作には行間とか、余白とか、糊代とか、白目(!!)とか多いから、
それぞれパロ作家様方が「書き込み」たくなってしまう…「そそる作品」なのですよね。
遊ばせていただいてます、ほんとに。
ツライ!消耗する!とか言いつつも楽しんでおります~~^^
おつきあいいただいて、ありがとございます、なのです^^

2012-03-18 Sun 23:25 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
Re: こんばんは
うふふ、ありがとうございます~~^^
なかなか「リク」の本題に入らないですね、お待たせし続けてます、すみません><
「鬼紫織」が我に返ったら、今までのアレはなんだったんだ?!な展開、たしかにビックリデスよね、すみません><
悪霊に憑かれたとか、鬼になってたとか、そうでないとこんな酷いことは出来んよ?ってくらい酷いですものね。だからって鬼のせいにして終わっちゃいけないのですが。
原作、ゲンナリ展開が多いですが…脳内変換!!パロ変換!!してますおこられちまいますが。
真澄変換も!!(ス変換!!)
原作完結しても…それ以降も。ガラカメで遊べそうですよね。
ほんとうに、いつもありがとうございます♪
2012-03-18 Sun 23:43 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-03-19 Mon 16:42 | | #[ 内容変更]
Re: 天然ジゴロ(笑)
>「周りが気になるのなら、僕のネクタイの柄でも見といてください」って言ってくれていたら、
どれだけ話が単純になっていたか!ですよね(笑)
なんでも重~~~~く捉えてしまう登場人物の皆様…なんかお疲れ様です、って言いたくなりますよね><
「結魂」に最も適任な紫織さん、っていうのも言い得て妙ですね^^
「結魂」放置、なんてツライぞ!

ここまで引っぱってきて、コレかよ!な着地点になりそうでコワイ今日この頃です~~><
2012-03-30 Fri 23:38 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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