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片翼の天使 14
2012-03-29 Thu 01:24
今宵も

 はね吉の がらすの森  ~ユレルココロ~


 …に、お越し下さって、ありがとうございます^^


ああ、やっぱり…ガラパロっていいね~~…!
自分の身体のなかに、登場人物がそれぞれ生きてる。
自分が「こうあってほしい」「こうなってほしい」って思うとうりに動いてくれるのもモチロン魅力なんだけど、
そのうち自分風のキャラクターが確立してきて、自分が考えるよりも先に喋りだしてくれて
自分はそれを書きとめるだけ、みたいになってくる。

それを読みに来てくださる方に受け入れていただけるかはわからないけれど、
でも、自分の中にある「ガラカメの世界」が、愛おしくなってくるのね自画自賛。
楽しいデス。ホント、たのしいです!!

切ない恋も、痛い傷も全て…お話を綴るのは た の し い !!


みなさま、こんな自分勝手なシュミにおつきあい下さって、本当に感謝です><。
感想などもメッセージでいただけて、同じツボで笑えた、泣けたって…嬉しいです。
「こんなのを見たいな」ってご意見で、ワシも「見たい!させたい!」って思えたら
やっぱり書いちゃいますね~~^^「イタダキ!」とばかりに。
HKD48手も育成中です…お待たせしてすみません><
たくさんの「寝ろ!!」メッセージ、痛み入ります…><

確かに寝不足との闘いなのですが、養生しつつ、息長く続けて書いていきたいな、と思います。
あたたかいメッセージ、本当にありがとうございます~~~~^^




それでは、続きからドゾ!!





                  片翼の天使 14



 切ない想いが真澄に夢として伝わっていたのを知って、
マヤは自分の恋心にひと区切りをつけた。
これ以上深く求めると、迷惑をかけてしまうだろう。
自分の中だけで静かに想っているだけで幸せだということにも気がついた。
今はただ、「紫のバラのひと」の願い…紅天女を演じるということに
自分の全てを懸けよう、と決心した。

それからというもの、マヤの演技にはブレが無くなった。凛としたものが備わった、と誰もが思った。
桜小路との掛け合いもうまくいっている…黒沼組はますます活気付いていった。


稽古途中に、ドアの外で何やら声が聞こえる。何人かの見学希望者がいるようだ。
事務の者が黒沼に耳打ちに来る…黒沼はそれを聞いて一瞬ぎょっとしたが
ボリボリと頭を掻いて「しかたねえなぁ」と入室を許した。

数人の外人と共に…日本人の青年が静かに部屋に入ってくる。
青年はどうやら紅天女の筋などを通訳しているようだった。
背が高く…長い髪を後ろにひとつに束ね…黒縁のメガネをかけている・・・
小さな声で話してはいるが、柔らかな微笑みは…

そのうち、その一行を気にしていた一部の人間が、まわりにひそひそと話しかける。
やがて小波のように、広がっていく…


「くぁあ、もう、ここまで!! 休憩だ休憩~~!!」黒沼が叫ぶ。

「ちょっと早いですが~昼休憩に入ります~~!後半は1時間後です!」

「スミマセン!おじゃましてしまいました!!」長髪の青年が大声で叫んだ。
「バッカ野郎~!もう少し待っててくれたら後半から紹介がてら始めようと思ってたのによ~~!」
黒沼が長髪の青年にグリグリと拳を当てる。
「いててて、先生変わってないな~」

わらわらと人が垣根を作り集まっていく。

「もう皆知ってるだろう?凱旋帰国した里美茂くんだ」
「スミマセン、みなさん、稽古中失礼しました!里美茂です!
 え~、ぼくは昔、年端もいかぬ頃黒沼組の洗礼を受けまして~
 散々な舞台にしてしまってボコボコにされた一人です!
 今日は仲間に日本を代表する演劇の稽古風景を見てもらおうとやってきました!
 静かにしてますんで、どーか許してやって下さい!」
「って言ってるそばからうるせぇんだよ!相変わらずだな、お前も!」
「せんせ~、あれから10年近く経ってるんです!ちょっとは成長しましたよ、おれだって」

「あ~~~~~うるせぇうるせぇ、おれは放置するからな。邪魔だけはするな。いじょ!メシ!」
「えええ!冷たいな~!」

里美の明るい笑い声で、稽古場の雰囲気が急に華やいだ。
特に女子が黄色い声をあげる。
里美は握手を求められると気さくに応じている。


突然の里美の登場で、マヤは心臓がドキドキしていた。
どうして?なんで?ホントに里美さんなの?!
新聞記事で読んだ時には、まったく遠い思い出だと…
もう、会う機会などないだろう、と思っていたのに。
目の前に現れた初恋のひとは、好きだったあの日と変わらぬ爽やかな笑顔だった。

あんな別れ方をしたから…
マヤから話しかけるようなことは、引っ込み思案の性格から出来なかった。
取り巻きを遠くからニコニコと眺めているだけだ。

髪を束ねていると、『天の輝き』の頃みたい…
おしゃれなメガネかけてるな…
ちょっと身体がガッシリしたかな?筋トレとか、してるんだろうな…
ハリウッド映画の準主役が決まったとかいってたけど…どんな映画なのかな?
スゴイな…さすが、里美さんだな…

ニコニコ顔を固定して、ほわ~とそんなことを考えていると、
隣にいた桜小路が小突いてくる。気がつかずにほわ~としていると、
いつの間にか、里美がこちらに向かってずんずん近づいて来ていた。

「マヤちゃん!マヤちゃんっ!!」

はっ、と気がついた時には…

「会いたかった…マヤちゃん!!」と抱きしめられ、
マッハで両方の頬にキスをされて…

里美以外の全員が、その急展開に目を白黒させて、くちをパクパクさせていた…。





ヒュウ、と口笛で冷やかすような音が鳴る。
「えっ、再燃…?」
「さすが…挨拶もアメリカ式!」
「ショ、ショック~~~3分で失恋~~~!!」
まわりが好き好きに口走る。マヤはゆでだこになっていた。
(桜小路は顔面蒼白、だった)

「あ、ゴメン、慣れなれしすぎだね」里美は頭を掻きながらマヤから離れる。
「お…お元気そうで…何よりで…ございます…」
「ぼくがマヤちゃんを意識し始めたのも、そんな真っ赤な顔のときだった」
優しく柔らかい笑顔で、懐かしそうに話しかける。
二の句を継げなくなり、マヤはその優しい笑顔を見つめるしか出来なかった。
そうだ。この優しい笑顔に、自分は恋をしたのを思い出した。

「あの…映画の準主役決まったんですってね…お、おめでとう…」
「ありがとう。マヤちゃんもすごいね。一時は演劇を辞めたのかと心配したこともあったけど
 復活して、紅天女の候補になって。やっぱり天才なんだって感心したよ」
「え…?」
「海外に居たって、今はネットで情報はいくらでも手に入るんだ。
 ずっと君の活躍は見ていたよ」
「まさかそんな…」
「友人に『忘れられた荒野』のDVD,送ってもらったりして」
「ウソッ!!」
「探せば何処かにあるもんなんだよ」
「ひええええ」

「…忘れられなかった…マヤちゃんのこと…」

「あっ」里美は突然、声を上げた。まわりはびっくりする。

「ここからは公開することは出来ないなぁ…さっきのひと言もオフレコでお願いします!
マヤちゃん、ちょっと昼メシいっしょしよう…いいだろ?」
「え、あ、いいけど、お連れの方がたは…?」

「ああ、彼らは映画のスタッフ。日本人の役者を探してるから、売り込みたい人は相手してあげて!」

背に腹は変えられない、とばかりに人垣はスタッフのほうに移った。

「成功成功。ハンバーガーショップかなんか、あるかな?」
「まぁ…ファミレスくらいなら」
「上等上等。行こうか」

桜小路は顔面蒼白になったまま、固まっていた。
里美と共に、爽やかなつむじ風が自分だけをおいて吹き去っていったように思った。

拳をにぎる。
里美さん…あなたは帰ってきた…マヤちゃんのもとに…
また、あなたはぼくからマヤちゃんを奪い取っていくんだろうか?
負けない…ぼくは負けない。
今のぼくなら…黙ってマヤちゃんを渡してしまうことはしない…!







「特定の…彼とか、いるの?」
里美が屈託無く、真っ直ぐな瞳で話しかける。
ふ、と真澄の横顔が頭をかすめ、ツキン、と胸が痛んだ。

「い、いない…けど」また頬が熱を持つのがわかる。

「あは、そうか~、じゃ、昔のよしみってことで、第一候補に考えてもらってもいいのかな?」
相変わらず、人懐っこい笑顔でいつの間にか心の一番側にまで入り込んでしまう。
それがうざったい、と思わせないところが、この青年の大きな魅力だった。

いろいろあったことを全てすっ飛ばしてここにいる青年を
どう受け入れていいのかわからずに戸惑っていると

「まぁ…何人かのライバルがいるのは承知の上だけどね~負けたくないな」
ニコニコとアイスコーヒーを飲みながら話している。

「あんなことがあって…おれもしばらくは やさぐれてね。
 こんなことじゃいけない、って思って、活動拠点をアメリカに移して、本格的に挑戦したんだ。
 やりきれない思いを、全部ぶつけるんだ、って。
 君も同じように挑戦し続けていたんだね。良かった。…本当に、良かった」
「ありがと…憶えていてくれてるなんて、思ってなかった」
「忘れられなかったって、言ってるじゃないか~」
「またまたぁ」

「ありがとう…里美さん。あたし、ちょっと勇気出てきた」

気持ちのやりとりが出来る、というのは心が熱くなる。
自分一人だけで想いを温めるのは、本音では寂しいものだ。

「マヤちゃん、紅天女、がんばれよ。おれ、君なら獲れるって信じてる」
「うん…ウン、ありがとう…」

「あ、でも」

里美はくるっ、とイタズラをするような表情をした。

「もし、ダメだったとしても、おれで良ければ
 公私ともにマヤちゃんのプロデュースをしたいと思ってるんだ。
 あ、そのほうがいいかナ?
 おれ、マヤちゃんが獲れませんように、って祈ったほうがいいのかな?」
「アハハ、里美さんたら!冗談ばっかり~~~!!絶対あたしは紅天女になるんです!!」

ふたりでよく笑った。海岸をデートしたあの日と重なる。
ひとりでさびしくて、凍えそうな心に
明るい日差しのあたたかさが注ぎ込まれたような気がした…。

「マヤちゃん…おれは本気だよ。…それだけは憶えておいて」

桜小路のこともある。真澄のことも忘れられるはずもない。
マヤは曖昧に伏し目がちに微笑んで…

里美はその大人びた微笑をみて、マヤが昔のままの少女でないことを察知したのだった。








         つづく






はい!『転』の部分に(やっと)突入!!

マヤたんの様子に「こんなのイヤ~~~!」って思われるかもしれませんね><
でも、こんな感情、あると思うんだぁ~オンナノコだもん。


コロコロとあっけなく完結に向かいますよ!!

あ…でも、紫織さんその後って書くべし、かもな?
あっけなくそっけなく、出来ますが。




ただいま風邪が蔓延しております。
春の風邪。ダルオモ。忙しい毎日ですものね~
どうぞお身体ご自愛くださいませ!



それでは今宵はこのへんで。
明日も良い日でありますように・・・・☆




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