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片翼の天使 16
2012-04-06 Fri 01:55
今宵も 
 はね吉の がらすの森 ~リクにお応えできてるでしょうか?~


 …にお越しいただきまして、ありがとうございます☆


そろそろ完結にむけて動き始めますよ!!
そのために ばびゅん、と説明的に話を進めている部分はご容赦下さいませぇ><



では、続きからドゾ!!









                     片翼の天使 16




 紅天女の試演に向けて、小野寺組・黒沼組ともに問題を抱えていた。
役者の怪我・不調である。

姫川亜弓は稽古中の事故から視力が著しく落ち、緊急手術を要している。
主演の亜弓はその事実を隠し、演出と相手役のみが知るという状況。
亜弓の阿古夜を演じたいというすざまじいまでの執念で乗り越えようとしていた。

桜小路優は稽古の帰りに交通事故に遭い、全治2ヶ月の骨折。
一時俳優交代かと懸念されたが、黒沼は一真への理解に繋がるとして桜小路に発破をかけ、
桜小路もその信頼に応えようと決意を新たにした。

それぞれに障害を経験することにより、役に対する意識と演技の感覚は研ぎ澄まされ
完成にむかっていった。







大都芸能社長室。
先日の紫織からの申し出により、真澄の身辺は激務に次ぐ激務を極めていた。
鷹宮側からの厳しい緘口令が布かれてはいたが
突然の婚約解消はやはりいろいろな憶測を呼び、どちらの関係各所にも影響は出てしまう。
通常業務に加えてプライベートな件でも調整が必要で
紅天女の試演について考える時間も少なくなっていた。

「そういえば、耳に挟んだのですが」
水城秘書が話を切り出した。

「一時帰国している里美茂が、黒沼組の稽古によく姿を見せるそうです」

真澄は「里美茂」という名前には以前から不安を感じている。
焦り、にも似た感情。これはやはりマヤに関する人物だからだった。

「何故…黒沼組に?」
「何でも、初舞台は黒沼さんの芝居だったそうで。かつての師の正念場ですから景気付けなのでしょうか」
「黒沼さんも、義理堅い弟子を持っているものだな」

真澄は平静を装っている。
黒沼のいるところにはすなわち、マヤがいるのだ。
マヤにとって初恋が実り、愛情を互いに育みあった相手が側に居て…
どうしようもない理由に引き裂かれてしまった恋人同士。
お互いに意識し、想いが蘇らないはずがない。
胸の奥にぢりぢりと焦げるような苦しさがひろがる。

水城はそんな真澄の心情を見透かしているかのように、
仕事の手を止めずに痛いひと言を言う。

「かつての初恋宣言の相手もいますからね…それだけが理由ではないのでしょうね」
「………」
「交際を申し込んでいるという桜小路君も気が気じゃないでしょう」
「……しかし彼は怪我をおしての準主役だ。恋の鞘当てをしている余裕もないだろう」
「そうですわね…でも、自分のことで精一杯になっている間にまた恋敵にしてやられる、というのは
 男としては一生の不覚、になりませんこと?」
「………それはおれへの皮肉か?」

苦い苦い胸の苛立ちは、見当違いの方向に八つ当たりするしかない。
自分でも情けない鬱憤晴らしをする、と嫌になる。
しかし、水城はその上をゆく。常に。いままでも、これからも。

「まぁ、そうお聞きになられたとしたら失礼なことを申しましたわ。
 わたくしは一般論を申し上げただけのつもりでしたけど」

「ケンカを売る気なのか?水城君」
「まぁ怖い」

始めから負ける気の無い水城は勝算があるのか、からかい気味に身をかわす。

「里美茂は昔から先手必勝の勝負をかける子ですわ。ぼやぼやしているうちに、
 今度こそ永遠に手の届かない存在になってしまいますわ。
 
 ……モノに当たるのはお止し下さい、真澄様!!」

コーヒーカップが、机からはるか向うの床を目がけて落ちていた。

「もう、メラミン食器にしますわよ!!」

「うるさい!」

「そろそろ…紫のバラのひとを卒業なさったほうがよろしいのでは…?」

「そんなことをして、なんになるんだ!!」

「里美茂に対抗するには…真実を打ち明けるしかないのでは、と申し上げているのです!」
 紅天女の正式な継承が決定する、いいキッカケがございますでしょう?
 結果がどうあれ、何か一歩歩み出せば風向きは必ずかわりますわ!」

「君に…君にいったいなにがわかる?!」

次に机に山と積まれた書類が雪崩を起こした。







怒りを一身に浴びた書類を一枚一枚拾い上げながら、
真澄は焦る気持ちをなだめようとした。
自己嫌悪も一緒につのっていく。

どうしろと。どうしろというのだ。
何かが出来るとしたら、こうなる前に行動していた。
今更。そんな中にのこのこと割り込めるというのか。

真澄は自分の右掌に残る傷をながめた。
戦うことなく負けてついた傷。
男としての器の小ささを自覚させる鈍痛が今も続く。

「……チクショウ…!!」

拾い集めた書類を、もう一度床にぶつけても
真澄の苛立ちは治まる事は無かった。







             つづく。





うわわわわ、怒髪天!! やつあたりは見苦しいぜ、真澄!!


それでは今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように~~~~♪










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この記事のコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-06 Fri 02:26 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-06 Fri 08:42 | | #[ 内容変更]
ファースト拍手げっと、でしたか!!
ありがとうございます~~深夜だったのに。

やっぱり同年代・昭和な香り・大映系…のフェロモンが呼び合うのでしょうかね^^;
楽しみにしていただいて、ほんとに嬉しいです。
速水さんの嫉妬ぶり、割れるカップと飛び散る書類。そのうち
ギリギリと歯噛みして荒れ狂うお姿をお見せできるのでしょうか…
だんだん楽しくなってきまして(サド!!)

マヤたんの輪郭がぼやけてきてしまった。あぶない。

to○○moko様のお題もワシの妄想を掻きたてて下さったのですよ~~
感謝・感謝です!!
ありがとうございます^^どうぞ最後までおたのしみに、ですぅ~~

2012-04-07 Sat 23:17 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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