2ntブログ
 
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨
片翼の天使 20
2012-04-18 Wed 03:12
今宵も 

はね吉の がらすの森 ~正念場!だよっ~


…に、お越し下さって、ありがとうございます☆



今宵はグダグダと前置きは言いますまい…





 では、続きからドゾ!!












  

               片翼の天使 20


 「マヤちゃんのことはあきらめて、僕に任せて下さい!」

頭を下げ続ける里美に、マヤは慌てた。
「ちょ、ちょ、ちょと里美さん、何言ってるの?」里美の腕を両手で掴んで揺さぶった。
「あきらめるとか任せるとか、わけわかんない!」
里美はマヤの両手を取り、覗き込むように見つめた。いつもの優しい笑顔ではない。
男らしく真剣な顔。「今からちゃんと説明する。最後までしっかり聞いて?」
気圧されてマヤはコクンと頷き、おとなしくなった。里美の片手はマヤの手と繋いだままで。

その様子を見て、真澄の冷えた心臓は熱を取り戻した。
自分はマヤが他の男と芝居以外で接触することにことごとく憎悪を感じる男だとあらためて気がついた。

「おれとしてもそれは聞き捨てならないな。説明を聞こうか。
 その前に、ちびちゃんが痛そうにしている。手を離してやりなさい」

強く握りしめているつもりもなかったのにそう言われて、
里美はマヤの顔をうかがってからニヤ、と笑って手を離した。
「ああ、マヤちゃん痛かった?ごめんね」
「え・・・?いえ、痛くないです。だいじょぶ…」

真澄はフン、と聞こえそうなくらい不機嫌に横を向く。

「マヤちゃんは紅天女の継承が決まりましたが、いまだどこにも所属していません。
 聞けば怖ろしいくらい多くのオファーが来ているらしいんですけど
 フリーの身で捌ききれるわけがない。マネジメントも必要でしょう。
 速水社長はどうなんですか?もう一度大都にマヤちゃんを招きたくはないんですか?」

「それは北島君が決めることだ。あいにくこの子は大都芸能が死ぬほどイヤだ、と言って
 前の契約を解いたんだ。いくらおれがこの子を欲しくても、マヤが嫌なことをもう一度頼むことはできないよ」

「本当に…そうですか?」

「え?」

「僕が日本に帰国した本当の理由から言いましょう。
 この話は極秘でお願いします。
 僕は今度ハリウッド映画の準主役が決まっています。制作はアメリカですが、撮影は日本になるらしい。
  
 アメリカの青年が、幕末の日本にタイムスリップする話で、
 僕はその青年と開国にむけて共に行動することになるんです。
 そこで僕の許婚に青年が恋をしてしまう…彼女も二人の間で揺れ動くのです。
 でもシリアスじゃなくて…コメディ路線なんです。
 
 監督が、日本人で演技力のずば抜けたコメディエンヌを探している、ということだったので
 僕は一番にマヤちゃんの顔が浮かんだんです。ピッタリの人がいる!彼女なら間違いない!!って。
 監督に出演作のDVDを添えて推薦したら、是非にも、とのことで」

真澄もマヤも里美の話に呆然としていた。

「マヤちゃんが向うの映画で成功すれば紅天女の海外公演の道も出来るかもしれない。
 マヤちゃんはそこまでの器を持った女優なんです」

「そんなこと、おれにだって十分わかっている」

「そうですよね…マヤちゃんの初舞台の時からずっと見守り続けているあなたなら…
 僕以上にマヤちゃんのことをわかっているはずだ」

里美の話し方が段々挑戦的になっているのを苛立ちながら感じていた。
何が言いたい。そう言いながら、お前は何も知らないだろう、と言われているような気がする。

「紅天女が決定して、さも喜びと希望に溢れているだろう、と思っていたら
 当の本人はそれどころか魂をどこかに置き忘れて来たかのように覇気が無くなってるんです。
 少なくとも、僕らが付き合っていた頃のような、
 突き抜けた明るさと行動力が最近見られない…」

「ちびちゃんも大人の女性になった、ということじゃないのか」

「マヤちゃんの芝居への情熱はそんなものじゃないでしょう?
 今のマヤちゃんは
 大空を羽ばたく力は十分に持っているはずなのに飛び立てないでいる。
 まるで片方の翼を失くしたかのようだ…」

何故? 真澄はマヤを見つめた。
マヤと目が合う。マヤは膝の上でぎゅ、と拳を握った。
切ない色が浮かぶ瞳。そして一瞬でうつむいてしまった。

「僕は…マヤちゃんのもう片方の翼になりたいんです」

「な…」

「マヤちゃんさえOKなら、僕が責任を持ってアメリカでのサポートをしたい。
 マヤちゃんはそんな気になれないかもしれないけど、
 公私ともに…映画の役の「許婚」で紹介すればヘンな虫からもガード出来る。
 速水さん…あなたにその気が無いなら、
 僕はマヤちゃんを連れていきますよ」

「何…だと…?」

「ずっと気になっていました。
 マヤちゃんは他のタレントや女優と違って、あなたにとって特別な存在なんじゃないかと。
 だからあなたにだけはちゃんとことわりを入れてから連れて行こうと思ったんです。
 あなたにその気が無いなら!
 おれはマヤちゃんをおれのものにする、って言ってんです!!」

真澄の拳が里美の頬にヒットし、テーブル越しに里美の胸ぐらを掴んだ。

「生意気な…!!
 おまえは二度もおれからこの子を奪っていくつもりなのか!!
 前だって十分に守れなかった若造が…いい気になるな!!」

「ああ!!随分後悔しました!!ずっと引き摺りましたよ!!
 だから!!だから今度こそは絶対に離さない!!
 嫌われているからと声もかけず、ウジウジしている間にさらわれてしまうような
 あなたとはわけが違うんだ!!」

「なに…っ!!」

「本当の気持ちも言えないくせに!!正直に言ったらどうなんです!!」

「おれはマヤちゃんが好きだ!!あんたはどうなんだ!!」

里美が真澄の腕を掴み返す。ぶるぶると震える腕から、力が抜けていくのがわかる。

「おれ…は…」

「おれ…は…マヤを…失ったら…
 生きてはいけない……!」

「マヤを…愛している…」

「オマエには…渡さん…二度と…!!」


ふたりは睨み合っていたが…そのうち里美がフフッ、と笑い出した。

「マヤちゃん…ちゃんと聞いてたかい?」

真澄は我に返った。すかさずマヤを見る。
マヤは涙をボロボロ流してこちらを見ていた。
何年も秘密にしていた気持ちを口にしてしまった…!!
膝から力が抜けて、真澄はソファにストンとおちた。

「速水さん…」

「ちびちゃん…すまない…。
 憎んでいる男に愛してると言われても迷惑な話だな。
 …忘れてくれ。おれももうきみの前には二度と…」

「あたしも!あたしも速水さんを…!」

真澄も里美もぎょっとしてマヤを見た。

「里美さん…ごめんなさい。
 もう片方の翼には…なってもらえません」
「あたしにも…失ったら生きていけないって思うほどの人がいます…」

里美は深く優しい瞳でマヤを見つめた。
「うん…わかってたよ。おれじゃないってことは。
 きっとうまくいくんじゃないかな…?その人と」
 
マヤはこれ以上無いほどに頬を染めている。
里美は真澄に向かって、両腕を軽くひろげて肩をすくめて笑いかけた。
真澄は思いもしない展開についていけずに、ソファに沈んだまま二人を見ていた。

「速水さん…でも、映画の話は本当のことなんです。
 亜弓さんが復帰するまでの間…ハリウッドに挑戦させてあげるのは無理でしょうか?」

「どうなんだ…?ちびちゃん…」

「もう片方の翼が見つかったら…あたし…飛んでみたいです」

「早く見つけて欲しいんだけどな!もう監督から矢の催促でさ!
 あ、そうだ!おれ、むこうのスタッフと今から会う約束なんです!
 時間が無いから、先に失礼します!ごめん、マヤちゃん!また連絡する!!」

里美はさっさと立ち上がって、応接室を出ていこうとした。

「あ、そうだ、速水さん…」

「…なんだ」

「役者の顔にゲンコツ食らわすなんて…おれ、よっぽど怒らせちゃいましたかね?
 芸能社の社長のすることじゃないっすよ!」

「………すまなかった」

「マヤちゃんのこと…たのみます」

里美はマヤにウィンクをして、応接室を後にした。
部屋にはマヤと真澄が残される。

「こっちに」真澄は自分の隣をポンポンとたたく。
おずおずと座るマヤをじっと見つめた。

もう、言葉はいらなかった。
見つめ合うだけで、すべてが伝わってつながっていくように感じた。

「おれの…もう片方の翼も…見つかるかな」

マヤはゆっくりと頷いた。
ふたりはゆっくりと近づき、どちらからともなく口づけを交わした。

翼を取り戻した天使は、新しい大空を翔け巡るだろう…






          おわり。









わああああああああああああああああああ長かったああああああああああ!!!!!



散々端折った最終話!!ごめ~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!


言い訳はまた次に!!んねむいっ!!






それでは今宵はこのへんで。

明日もいい日でありますように~~~~♪






関連記事
別窓 | 片翼の天使 | コメント:10 | ∧top | under∨
<<片翼の天使 言い訳編 | はね吉 がらすの森 R-18 | どうでもいいはなし>>
この記事のコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-18 Wed 13:59 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-18 Wed 14:16 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-18 Wed 21:35 | | #[ 内容変更]
どうなることかと…
あぁ~よかったぁ~~(^。^;)
2012-04-18 Wed 22:45 | URL | ponta #-[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-18 Wed 23:18 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-19 Thu 07:21 | | #[ 内容変更]
Re: ウワーーっ!2。
あらためて、リクしていただいて、ありがとうございました!!
こんなに長い話になってしまうとは思っていませんでしたが、
完結後に最初から読み直していただいて、の感想…ほんとうに感謝です><。

真澄様の告白が、「里美君の呼び水的告白」に比べると
案外アッサリ、なんじゃないかな~と思ったのですが、
ギリギリマスはあんなものか?と。
ワシとしては「あんた呼ばわり」した里美君がカコイイ!!ってうふふ、痺れました。
目の前で二人のイケメンが自分を好きだといって掴みあいをしている、なんざ
一生お目にかかれない我が身としては、なんてマヤたん、女冥利につきるな~と。

20話は、ドラマやアニメのカット割りが頭の中を廻っていまして…
最後はあっさりとエンディングに向かいました。
映像でお見せ出来ないのが残念です~^^

苦しい場面も多かったですが、達成感もあり、総じて楽しく書けました^^
ありがとうございました!!
支えてくださって、本当に助かりましたよぅ!!
コメントをいただいていると、
ひとりで書いているんじゃない、みんなと書いているんだ…っていう気持ちになるんです。
ほんとに。
スゴク励ましていただきました!!あじがとごだいましたぁ~~~


2012-04-22 Sun 01:14 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
えへへ~~ご心配おかけしてしまいましたかぁ?
申し訳ない><
なんとか無事着地成功いたしました!
ありがとうございました~~♪♪

2012-04-22 Sun 01:16 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
本編…簡単にシオリンが退場、にならない示唆がイヤァなかんじ…
握りつぶしてやる~なエイスケさん。
娘が「はらぺこバンビーノ」が読みたいので買いますが…
ハッピーエンドが見えてこないのはシンドイですよね。
転勤、tお疲れ様です!!無理されないでくださいね!!
ご健康をお祈りしていますです!
2012-04-22 Sun 01:20 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
○さま。いつもほんとうにありがとうございました。
○様の励ましがなければ、シオリンと向き合う覚悟が固まらなかったのは確かです。
片翼完結までには、何人かの(名前をあげさせていただきましたが)お力添えがあってこそ、だったので
感謝してもしきれないのです~~うっうっ。

でもやっぱり「アレ?」って思われましたよね、うふふふ。
シーソーがね、釣り合わないわよ~ってカンジの結末。尻すぼみ、ってこのことを言うのだよ。
でも、またもう一度最初から続けて読んでくださるなんて!!!
もうしわけないっっっ!!
そして納得いただけたなんて!ほんとに?まじで?って…。
嬉しかったですぅ><

もともと、里美君が「マヤの片翼になる」って宣言して嫉妬マス爆発、構図だけだったのが
いつのまにか膨らんで、それぞれの翼の欠如の話がソーニューされてイキましたね~(なんかエロい…ふざけんな!!)
今後、こんなふうにやたら話が長くならないように、気をつけなきゃなぁ、と反省しつつ。

それから、「所構わず」…すみませんでしたぁぁぁぁ!!!!^^
ほんと「おいおいおいおいおいおいおいおい!!」な使い方…申し訳ない。
ムリヤリ感たっぷり、でした。こじつけしまくり、でした。
失礼しました^^

さて、表題も18-R くくりにしたことだし…
思い存分、ばるん男爵を解放してやることにしましょうか…

○様、ほんとにありがとうございました!!
また今後とも、よろしくお願いいたしますぅ!!
2012-04-23 Mon 00:31 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

| はね吉 がらすの森 R-18 |