今宵も
　
　はね吉の　がらすの森　～賛否両論かと。～


　…に、お越しいただきまして、ありがとうございます!!


なんだかんだ言いつつ、やっぱり書いちゃうパロ。
産みの苦しみではあるのだけれど、
産む前の作業は楽しいもんね♪　っていう下ネタ、よく言いましたっけ。

パロ産みの前の楽しみ…妄想？
確かに楽しいねええ^^




それでは続きからドゾ!!

　

＊説明的な文章のみになりそうです。特に紅天女試演についての描写は想像でしかできませんのですっ飛ばします…ご了承下さい＊　　　　　　　　　　


　　　　　　　　　　片翼の天使　18



　紅天女の試演が終了した。

ふたつの舞台を目にした観客の意見はちょうど半分に分かれた。
同じ脚本をもとに作られているが、演者・演出共に違う人間が手がけるのだから、
作品への理解の差によって変わるのは当然である。

どちらも最高の舞台を作ったのだから、あとは観客の好みの差、といえよう。

黒沼組は　時代背景は戦国時代だが、現代の日常を切り取ったような
親しみやすさを感じる阿古夜と一真で
恋の心情や苦しみが等身大で観客に伝わり、共感と涙を誘った。
紅姫神に扮した時には会場を一瞬にして異空間に変えてしまう、北島マヤの天才性が際立った。

小野寺組はすべての場面において　伝統芸能の舞台のような重厚さと神々しさに満ちていた。
常に静かに語り、感情を荒立てることのない阿古夜は
生きる女神のように美しく、神秘的だった。
まさに、紅天女の絵巻を見るようだ、と絶賛された。

およそ、どちらの『紅天女』も正解なのだ、と誰もが思った。
どちらかを切り捨てる、などは誰にも出来ないのだ、と。
出来るとすれば、今は亡き作者　尾崎一蓮と　ただ一人の継承者　月影千草であろう。



そこで演劇協会は協議の末、千草の意見に重きを置くことに決定した。
協会としては、どちらかだけに軍配を上げることは出来ない、
甲乙つけがたい優秀作品であった、と。

北島マヤ・姫川亜弓どちらが正式に継承するのか…結果は三日後に発表される…と。


北島マヤはいつもの舞台と同じように、役が抜けきらずにぼんやりとしたままだった。
阿古夜を生きることが出来て、満足だった。
途中から、完全に自分を動かしているのは別の命だったと感じた。
一真に真剣に恋をして、想いを預けた。
試演が終わっての3日間は、自分でもどうして過ごしていたのかわからない。

姫川亜弓も、自分の阿古夜を演じることが出来、満足だった。
演じ終わって役が抜けぬまま、病院に担ぎ込まれた。
ぼんやりした意識のまま、検査をし、視神経を圧迫している血腫を摘出する手術を受ける。
自分とマヤと、どちらが継承者に選ばれるかなど、どうでも良くなっていた。
残念だとしたら…自分の舞台も、マヤの舞台も見ることが出来なかった、ということだった。
この眼がまた光を取り戻すことが出来るのなら、
ふたつの舞台を一人の観客として見たいと思う…。

---

月影千草より、演劇協会に書簡が届く。

　この度は紅天女試演の為に多くの方にご尽力いただきまして、ありがとうございました。
二人の女優がこのように舞台を演じきることが出来ましたのも、
皆様の『紅天女』へ対する熱意のお陰と思い、わたくしは喜びに絶えません。
尾崎一蓮がこの紅天女をわたくし一人に託して世を去りましてから
どれくらいの歳月がたったことでしょうか。
栄光と不遇の時代を経て、またこの世に蘇ることが出来ると知って喜んでいることと思います。

さて、紅天女の継承についてでございますが
初めわたくし一人で守って来ました紅天女ですが
今にして思えばかなりの重圧がございました。
優秀な演劇作品を上演するには、たくさんの人間の力を必要とし
またついてくる利権は多大なものです。
この芝居について、人間の欲や手垢にまみれるような事態を招きたくなかった…。
それがわたくしが他者にこの紅天女を預けられなかった理由です。
ただひとりの継承者に拘ったのもそのためだったのです。
何よりも誰よりも、紅天女の世界観を理解し、愛し、守り、演じてくれる人に託したい…
その思いは今でも変わりません。

姫川亜弓・北島マヤという才能溢れる女優を二人も与えられ、わたくしはしあわせでございました。
ふたりが切磋琢磨して成長していく姿を見るのは、本当に嬉しく幸せな時間でした。
どちらか一方に、という継承はもはやナンセンスなことなのではないか、と思い始めたのです。
皆様にご覧いただいた試演で観客の方々の感想を聞かせていただいて、その思いをさらに強くしたのです。
梅の谷での修行を終えて二人に紅天女を託した瞬間に、すでに決まっていたことなのかもしれません。

正式継承者は両者である、ということに。

また、演出してくださった二人の方も、紅天女についての理解を本当に深めて下さっていました。
演劇協会の方々が、「甲乙つけがたし」と評価してくださったのも、さもありなん、と思います。
わたくしは気がついたのです。この芝居を愛してくださる方、お一人お一人が
この芝居を上演する資格があるのではないかと。
今までわたくしがあんなに「どちらか一方に」と言い張っていたのに、このような結果を出しますこと、
たくさんのお叱りを受ける覚悟はございますが、
この結果で納得していただけるはず、とも思っています。

しかし、歳若い女優が、このような大作を管理していくにはかなり難しいものがございます。
まだまだ二人には研鑽を積んで欲しいと思いますし、
管理のためにわずらわしいことに気をとられていては
これ以上の成長も望めないことでしょう。
ありがたくも、この試演を取り仕切って下さった
日本演劇協会から、管理についての支援を申し出ていただいております。
現代においては、このような形で支えていただくのも、正しいことではないかと存じます。

つきましては二人の女優・日本演劇協会の理事長様との間で調整をしていただきたく
お願い申し上げます。

さて、これでわたくしの使命は終了です。
まだ命の灯が消えなければ、ふたつの紅天女をもう一度観たいと願っております。
そして天国にいる尾崎一蓮に土産話をし、共に見守っていきたいと思っています。

最後に。

亜弓さん、マヤ、よくがんばりましたね。
いろんな苦難も痛みも味方につけて、大きく成長しましたね。誉めてあげますよ。
もっと喜びなさい。泣きなさい。そして、愛しなさい。
紅天女を、よろしくお願いします。

演劇協会は、この月影の書簡をそのまま会見で読み上げ、正式継承の発表とした。








　　　　　　　　　　　　つづく。




・・・・逃げっっっっ！！！！



それでは今宵はこのへんで。
明日もいい日でありますように…


ＰＳ…ご意見、おまちしております…スミマセン～～～







　

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