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片翼の天使 19
2012-04-15 Sun 18:28
 今宵も 

 はね吉の がらすの森 ~いよいよ!!~

…にお越しいただきまして、ありがとうございます!



 あああああああ。

 6年生の卒業式に「謝辞」する役になってしまいました/////

こうなったら、卒業生も先生も保護者も全員号泣させるような名作謝辞を語ってやる!!(ヤケクソ)




それでは、続きからドゾ!!








              片翼の天使 19


 正式に紅天女継承が両名に決定した、との発表があったのち、
姫川亜弓の視力障害と手術の情報が明らかになった。

マヤは激しくショック受けた。
そんな状態での挑戦と、完璧な演技力。やはり自分は亜弓には敵わない。
月影に認められた喜びはあったが、亜弓に完全に敗北した気持ちに苛まれた。
そして、亜弓こそが真の紅天女の継承者…自分は補佐に過ぎない、とまで思いつめた。
本公演も、亜弓の復帰までは自分には出来ない、と宣言した。

亜弓は手術が成功したが、もとどうりの視力を取り戻すにはやはり難があった。
「サリバン先生みたいなものかしら?」とおどけてみせるが、
試演前まで傾けていた情熱が抜け落ちてしまったような気がした。
燃え尽きてしまったのだろうか…?
正式に継承出来たのは嬉しかったが、もう一度あれほどの舞台での情熱を持つことが出来るのかしら?
マヤには、自分のぶんまで、紅天女を演じて欲しい…そこまで思うようになってしまっていた。

一同に会して話し合うことの出来なかった演劇協会の理事長は両名の状態に完全にお手上げになってしまった。
月影千草に相談をすると、
「もう両名に託したことですから。
 けれど二人とも、必ず情熱を取り戻します。
 そこまでわたくしはお見通しですわ。
 あれだけ二人とも頑張ったんですもの…しばらく休ませてやってもよろしいのではなくて?」
…ととりあわない。

やむなく、「紅天女 本公演については 姫川亜弓の復帰まで保留」 になった。









マヤにはもうひとつ気になっていることがあった。

継承が決まったら、紫のバラの人からの経済的な支援は断ろう、と決心していた。
時々舞台を観てもらえるだけでいい。
紫のバラを、楽屋に届けてもらえるだけで十分に満足なのだから。
その思いを聖に伝えると、聖は少し寂しそうに微笑んだ。

「マヤさんの成長と成功を誰よりも喜んでおられます。
 その申し出も成長の証なのですね。
 しかし…主はマヤさんの巣立ちが寂しいと思うのかもしれませんね」

マヤは聖の胸にすがって泣いた。
結婚していく真澄に、いつまでも頼っているわけにはいかないのだ。
直接感謝の想いを伝えたかった、と泣いた。

しかしその後、
真澄の結婚が無期延期になった、との噂が耳に入った。
真意を確かめたいと思っても、本人に聞きに行くほどデリカシーのないマヤではない。
幸せな結婚に影を落とす原因は自分にあるのではないか、と悩んだ。
もちろん、桜小路に交際は出来ないと断ったのは言うまでもない。

紅天女が決定して、自分の周りは 事務所に勧誘されたり新しい仕事のオファーがきたりと
蜂の巣をつついたような騒ぎなのだが
魂を遠くに置いてきてしまった、フラフラな状態になってしまっていた。




「マヤちゃん…ちょっと大事な話があるんだけど」里美が連絡を取ってきた。
「これからどうするつもり?何か決まったことある?」

「ううん…なんだか落ち着いて考える気持ちになれなくて」
「らしくないなぁ…マヤちゃん。放っておけないなぁ」
「…ごめんね、心配してくれてありがとう…」

「あああ!もう、じれったい!! 強行突破する!!
 いっしょに来て!!」

里美がマヤの有無を言わせず引っぱって行ったのは、大都芸能の社長室、だった。









真澄は試演を見ることが出来て、大満足だった。
数々の舞台を観てきたが、涙が止まらなかったのは初めてだった。
楽屋に届けるように注文していたバラの花が足りないと感じて終演後追加で届けさせた。

しかし、聖から「マヤが経済的な支援を終わりにして欲しいとの申し出があった」と伝えられた時には
永遠だと感じていた絆も終わりを告げる時がそのうち来るのだ、と気付かされた。

たしかに…
今は紫のバラの人に想いを抱いていたとしても、
本当に愛し愛される存在が出来たら、幻でしかない紫のバラのひとに恋愛感情など続くわけがないのだ。
例えば、里美のような存在なら。

止めておけば良いのに、そこで里美のことを思い出してしまう。
ギリギリと心が歯噛みをする。
ぼやぼやしていたら、本当に手の届かない存在になってしまいそうだ。

そうしているうちに、水城が二人がアポを求めてきた、と伝えに来た。
極めて事務的に告げる水城。
けれど「ほら、言わんこっちゃ無い」と心の中で嘲笑っているんだろう?

「幸いこれからの時間は空いておりますわ。
 里美君、運がいいこと」
嫌なことを言う…。



いつもどうり爽やかな里美茂と、居心地の悪そうな表情のマヤが応接室のソファに並んで座っている。
マヤは視察の前に会ったきり、何も言ってこない真澄に落胆していた。
何か言葉が欲しかった。紫のバラの人としてだけでなく、速水真澄として。
やはり結婚式のことで自分のことなど構っていられないのか…
式の無期延期でいろいろと忙殺されているのか…
期待はしていなかったけれど、やっぱり…という思いはこんなに自分から元気を奪うものなのか、と寂しかった。

「マヤちゃん、おれ、とんでもないことを言い出すかもしれないけど…
 黙って最後まで聞いていて欲しいんだ。
 速水さんにもいろいろ言われると思う。
 それから最後に、マヤちゃんの思いを聞かせて欲しい。いいね?」

穏やかな表情をしているけれど、里美の瞳は真っ直ぐで迷いがなかった。
今の中途半端な自分が、逆らう気持ちになどなれるだろうか。
里美の自信に満ちた表情に、寄り添ってみるのも
今の疲れ果てた自分には合っているのではないか。
ここで。
因縁の大都芸能の応接室で。
自分からどうしても切り離すことの出来なかったしがらみを整理して

なるようになっても。



「お待たせしたね。今日はどうしたんだい?珍しい組み合わせで」

真澄はできるだけ平静を装いながら二人の前に座る。
「珍しい組み合わせ」など、牽制もいいところだ…と思う。
何を言いに来たんだ、ということも薄々感付いている。
ニヤニヤとしてしまうのは、自分への嘲笑だろうか。

「ときにちびちゃん…紅天女の正式継承おめでとう。
 お祝いの挨拶が遅れて申し訳なかったね。
 亜弓くんの事は残念だったが…きっと復帰出来るだろう。
 もう一度二人の阿古夜が見られる時が待ち遠しいよ」

「ありがとうございます…速水さん…」

「なんだ?元気が無いな。きみのことだからおれに自慢をしに来たのかと思っていたのに」

マヤの表情は、陰をまとっている。
演技が出来ない、と悩んでいたあの頃とだぶって見える。

「速水社長…そのことで話があって今日はお邪魔したんです」
里美が割って入ってきた。


揺るがない真剣な瞳を真っ直ぐ真澄に向けて、里美は堂々と言い放った。




「結論から言います。速水社長。
 …マヤちゃんのことはあきらめて、ぼくに任せて下さい」


里美はそう言うと、がば、と頭を下げた。

……まるで「娘さんをおれに下さい」じゃないか…
恐れていたことが、目の前で繰り広げられている。
まるでドラマを見せられているようだ、と真澄はぼんやり眺めていた。









             つづく!!




    でた!!   ってそんなこと言ってる場合か、真澄!!




それでは今宵はこのへんで。

明日もいい日でありますように…☆














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この記事のコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-16 Mon 15:20 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-04-16 Mon 20:59 | | #[ 内容変更]
完結したあとで…なんですが
里美君はどこまでわかっていたかというと、なんとなくそうかもな?程度でした~~
勘が鋭いのと、空気読む能力は抜群!!な里美君…
こんな人が彼なら、ぜったいシアワセになりそう…。

「娘さんをおれに下さい」などの表現…ツボっていただけて嬉しいデス♪
まさに、「天から降りて来る」のですよ~~^^
急に閃いてしまう…
「イタコ」みたいですね、コワイ!!

コメントいつもほんとにありがとうございます~~♪
2012-04-21 Sat 00:41 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
Re: こんばんわ。
いつもメッセありがとうございます!!
コージ君はずっと近いところからマヤたんのことを見続けているのに、
どうしてマスマヤの結びつきに気付かずにあんなことになってしまって、
「評判がよろしくない」のでしょうか…?
たぶん、お子ちゃまなのだよ…シャアかいっ!!(なぜガンダム?)
コージくんはマヤたんに「入り込みすぎている」のかもしれないですよね。
実際は思い込み、なのですが
「僕が一番側にいて一番理解している」って思い込んでいる。
全然見当違い、なんだけど。
「自分がもしマヤちゃんの立場だったら」って考えてくれるんだけど、
そこまで察しがいいタイプとは言えないのでしょう…。

で、こっちとしては
「よく解ってないくせに横からしゃしゃり出て来やがって。それで八つ当たりかよ!!」な怒りが。

で、恋に関する偏差値でいえば、
失礼ながら舞ちゃんと同レベル、なのかもしれません。
妹の誕生日にご馳走するからキテね!うふふ、あはは☆って。
きみの笑顔だけがぼくの宝物、って言っちゃえる…
ぼくの胸でお泣きよ、って言っちゃえる…
1960~1975年代の歌謡曲のような交際・恋愛…。
さすがに、旧すぎてついてイケない感たっぷり、ですもんね。
おなかいっぱいに、なっちゃうのよ~~><

イイ人なのに、報われない人種。ですね…



2012-04-22 Sun 00:54 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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