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はだかのままで 1
2012-10-17 Wed 00:08


  今宵も


 はね吉 がらすの森  ~そりゃないよ~~~!!ってああ!石投げないで~~



 …に、お越しくださいまして、ありがとうございます^^




 ううう~~どうかな~~~~覚悟してくださいね、うううう。



 それでは、続きから、ドゾ!!





















  はだかのままで 1





 秋晴れの空は透明に澄み渡っていた。
薄く筋雲が絵筆をはらったように重なるところを隊列を組んだ鳥がわたっていく。
もう、真澄の心に迷いは無い。
今の空はそんな心模様を映し出しているかのようだった。

鷹宮の門をくぐり、玄関に向かう。
仕えの者がうやうやしく出迎え、紫織の休む部屋に通される。

紫の薔薇を抱えたまま水に入った紫織を
一生かけて救い出してやってくれ、と鷹宮翁に懇願された。
自責の念で承諾の返事をしてから
紫織の様子はめざましく回復に向かっている。

童女のように聞き分けの無い時もあるが
真澄が側にいるときは大抵もとの紫織に戻ったようにみえる。
心底安堵した。しかし
真澄の中に、あの狂気は本当だったのか?との疑心が芽生えた。
たとえ元通りの紫織になったといっても
自分にこんな疑心がある以上、一生側にいたとてどちらも不幸にしかなり得ない・・・

速水の家の冷たい親子関係を脱しても
再びこんな人生を選びとることになろうとは。
真澄は自分の境遇を嘲った。

生きている実感が欲しくて、マヤに魅かれた。
マヤの生きる姿を通して、自分の生を渇望した。

しかしいつも巡ってくるのは、生ける屍のような人生・・・
余程自分は前世に大厄を犯した罰を受けているか
さもなくば現世で情け容赦なく他人の首を切ってきた報いを受けているのだろう・・・

何もかも捨て、やりなおすことが出きるなら・・・
いちかばちか。




「今日はお詫びをしに参りました」
真澄の穏やかでないその言い方に、鷹宮翁は顔を赤くした。
「どういうことだ、真澄くん」

真澄は翁、紫織、両親とお付きの者の介する中、床に正座をした。
そして手元の鞄から電動バリカンを出して
自分のこめかみに当てると一気に頭頂に向かって剃りあげていった。

ジャリジャリジャリ、という音にあわせて
真澄の栗色の髪が肩や胸に束で落ち、薄青い頭皮が現れる。
周りの者は瞬間何が起こっているのかわからず、ぽかんとして眺めていた。

「いやぁぁぁぁぁ、真澄様!!お止めになって!!」
紫織が金切り声を上げて、一同が我に返った。
「何をしているんだ、真澄くん!!」
「お止め下さいまし!!紫織お嬢様も嫌がっておいでです!」

真澄はそんな声など意に介さず、バリカンをすすめていたが
ふと「ではここで止めましょうか?」とニコリと笑った。
波平状態で。

紫織はぶんぶんと首を振った。
あの美しい真澄が・・・波平カットだなんて、耐えられない。
「では」と再びバリカンはすすむ。
そうして5分もたたないうちに真澄の美しい髪は全て刈り取られて
青あおとした坊主頭ができあがった。
見ればその頭皮にも、1円玉大の脱毛が見られる。

「真澄君・・・その禿げは・・・」
「ストレスからくるものだそうです」
真澄は事も無げに言った。ハゲの何が悪い、とでも言いたげだった。

仕えの者が気をまわして、蒸しタオルをすすめてくれる。
「ありがとう」真澄はタオルを受け取り、顔を拭いそのまま新しい自分の頭をぐるりと拭って
肩や胸、膝に落ちていた自分の髪を丁寧に拾いタオルにくるんでいった。
タオルをすすめた仕えの者も
背中の髪を取ったり周囲にクリーナーをかけるなど黙々と手伝い、禊ぎの儀式の後かたづけをした。
紫織はじめ、仕えの者以外はその有様を震えながら見守るだけだった。

真澄は清々しい笑顔を仕えの者に向け、「助かりました。ありがとう」と労う。
そうして床に手をつき深々と頭を下げた。

「お見苦しい場面をお見せして申し訳ありません。こんなことが代償になるはずもないことは承知の上ですが」

「わたしは今までの一切から身を引き、速水の家からも出る決心です」

「それは・・・?」

「はい。速水の義父と親子の縁を切り、ただの男に戻ります」

「そうして鷹宮に入ってくれるのか」
「いいえ」
「どういうことだ!」

「もともとこの縁談は速水の義父の野望から始まった命令でした。
 この度のことで鷹宮家の全てをわたしに引き継ぐとのお言葉を頂きましたが、
 その時の義父の喜び様にわたしは恐怖したのです」」

真澄は再び頭を下げる。

「元はわたしの思慮のない行動から始まったことで、
 わたしは自分を責めました。
 紫織さんの病んだ心をどうしたら元に戻すことが出きるのか真剣に考えました。
 しかし速水の義父にとってはそれがわたしの計画だと思えたようです」

「わたしは幼い頃から義父の考えのままに強制されて育ちました。
 他人の不幸でも自分の利益になることならその成果を喜んだものです。
 その義父の教えが身に染み付いたわたしです。
 いつか紫織さんの病状を喜ぶような自分になってしまうときがくるのかもしれません。
 そんな自分は許せないと思うのです」

「それでどうするつもりなんだきみは」
鷹宮翁は青ざめている。

まるで修行僧のように厳粛に語る真澄は
もう世間の権威や富を掲げても平伏さない気迫さえ漂っている。

「速水の名を捨て生まれ直し、遍路の旅に出ます。
 自分自身を見つめ、罪を償っていこうと」

「夢は・・・紅天女の夢はどうなさるのですか?!」紫織が叫ぶように問う。
「あんなに上演権を手に入れるのだと熱心になっておられた紅天女を
 今になって手放すことができるのですか?」

「はい・・・もうなにもかも」
「嘘・・・」
「その為の、これです」
そう言って真澄は頭をつるりと撫でた。

「申し訳ありません、紫織さん。
 速水真澄はもう死んでしまったのだと思っていただければ」
「紫の薔薇は・・・」
「紫織さんのお望みどうり・・・すべて枯れていってしまうでしょう」

真澄の笑顔は穏やかだった。すべてを悟ったかのような、柔和な顔をしている。
この笑顔のそばに一生いられると思っていたのに、しばらく見ることが出来なかったことも思い出した。
そう・・・婚約パーティーの日を境に。

「・・・逃げるのですね」
「・・・そう思われても仕方がありません」

もう、何を言ってすがっても責めても
たとえ秘かに愛していた娘を殺す、と脅しても
真澄の心は自分には寄り添わないのだ、と紫織は実感した。

「わたくしは…真澄様の強さと美しさに魅かれていたのですわ。
 そんな何もかも捨ててしまったみすぼらしい人に
 わたくしの人生を託すなどもってのほか…
 お祖父さま、わたくしこんな方にはもう一切興味はございませんの」

「紫織…?」

「でも…真澄様が羨ましい…」

「紫織さん」

「わたくしも…生まれ変わりたいです、ただの娘に」

「どんな困難があっても自分で人生を選び取っていく
 そんな潔さをわたくしも持ちたい…」

紫織の涙は、それまでの憐れさを誘うようなものではなかった。
真澄の意思をしっかりとくみ取り、自分自身に問い直す決意の涙だった。
真澄はそれを見て取り、優しく語りかけた。

「紫織さんにも出来ます、きっと」
「あなたがそう思いさえすれば、お祖父さまもご両親も必ず支えて励ましてくださいますよ」
「何より家族の方々に愛されていらっしゃいますから」

「真澄様だって…おじ様に愛されていらっしゃるでしょうに」

「いえ。わたしは違います。ですから家を出る決心をしたのです」

「おひとりで寂しくはありませんか?」

真澄はふふ、と笑って視線を落とした。

「常にひとりで生きてきたようなものでしたから…
 寂しいなんて感じる心を持ってはいませんでした。
 ですからあなたに寂しい思いをさせていてもわからなかったのです」

紫織は涙をこぼしながらも、凛とした微笑みをみせた。

「そうですね…無理矢理結婚していたら
 誰もがさびしくなっていたかもしれませんわ」

「お祖父さま…もうよろしいでしょう?
 紫織は政略結婚などいたしません。
 最後の我が儘をきいていただけませんか?」

鷹宮翁は苦い表情のままではあったが、無言で頷いた。

真澄もそれを見て、再度深々と頭を下げた。






玄関を出て門までの道を真澄と紫織は並んで歩いた。
少なくとも一度くらいは、伴侶として同じ道を歩くのだと考えていた。
その時よりもお互いの事を親しく感じている…
今になって、何故。

それは多分、これから漕ぎ出す新しい人生に
同じ勇気を胸に抱いているからかもしれない。
何も言葉にならなかったが、相手に向ける思いは同じだった。

「では…紫織さん、くれぐれも身体をお大事に」
「真澄様こそ。ご加護がありますようにお祈りいたしますわ」
「ありがとう」

「あ…髪がまだ残っていましたわ」
紫織が真澄の胸についている髪の毛をつまみ…
そのまま額を真澄の胸に押し付けた。

「ごめんなさい…少しだけ、
 少しだけ…ごめんなさい」

真澄の掌が紫織の背中を優しく撫でた。

「ありがとう。あなたと出会ったから、ぼくは新しい道に歩き出そうと決心できたんです」
「ごめんなさい…ごめんなさい…真澄様の夢を奪ってしまった…」
「もう…いいのですよ。紅天女が無事復活すればそれでぼくの夢は叶うのですから」

「ではこれで。失礼します」
「いつか…お会い出来るのを心待ちにしております。お元気で」




真澄の後姿が小さくなるまで、紫織はその場を動かなかった。
空が高い。
筋雲が折り重なって青の濃淡を彩っている。
もう、紫織の心に迷いは無い。

秋晴れの空はどこまでも澄み渡っていた。







            つづく。













…それでは今宵はこのへんで。

明日もいい日でありますように……!!!











 
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この記事のコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-10-17 Wed 09:46 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-10-17 Wed 10:52 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-10-17 Wed 15:30 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-10-18 Thu 01:11 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-10-18 Thu 11:12 | | #[ 内容変更]
Re: 寒い?
毎度ありがとうございます~~ほんと笑わせていただいて、
NK細胞が活性化してますよ~~ほんと!笑いはいいそうです!
(石をも穿つ…までは効力はないだろうけどNK細胞><)

>右手がワキワキする
…とはどんなかんじなんだろう?ウキウキ、に似ているのだろうか?
いや、なんか「モミモミ」に似たような動きのイメージがする…
>真澄様が丸刈り…
に続くこの表現からすると、やっぱり、
触りたくて撫でまわしたくてグリグリしたくてウズウズしている の〇の〇さまのイメージがぼん、と。

で、あははははは、と。勝手に想像してウケました♪
真澄様の背後でワキワキ右手で不敵に笑う の〇の〇さま…
しかも2Pめにはしっかと胸に抱えて撫で擦っていらっしゃる、という…

…ああ、よからぬ妄想肥大にならぬうちに終わりましょう…

ありがとうございました☆


2012-10-21 Sun 23:29 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
Re: れ〇さま☆
ありがとうございます~~♪
「完」でもよかったんですけどね、ふふふ
本当はお話のメインは後半にあります えへへ

わくわくしていただけて、ほっとしてます!!

ありがとうございました~~☆


2012-10-21 Sun 23:32 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
毎度ありがとうございます^^

え~~はね吉、めんどくさがりな性格をしているのですが、
こんがらがった毛糸とか
からまった電気コード数種類とか
からまって結ばれてしまっている鎖とか
それを解け、と言われても苦にならないヘンなところがありまして

アレクサンダー大王がきぃぃぃぃぃっ!ってなっている横で
嬉々として黙々と結び目解きに熱中していて
結び目の代わりに首をはねられてしまう人、かもしれません。

でも、人間関係のこんがらがり、はぶった切りたい、ってヤツです。
ってか、始めからこんがらがるようなことのないように、
人見知りが強い…

あ、めんどくさいヤツですね、えへへへ。

なんのこっちゃ。


本編での真澄さんはこの問題にわりと真摯に立ち向かおうとしているんでしょうね。
決して逃げない。
痛々しいけどね。

「オフィーリアシオリン」からの「尼寺へ行け!」からのマスミン剃髪の図。
どんな発想やねん、ですよね~~

それとお題とをむりやりつなげます。どんだけムリヤリやねん。

…なもんで、やっぱりハゲしいことになっております、ふふふ^^


  ありがとうございます~~☆支離滅裂ですみません☆


2012-10-22 Mon 00:09 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
Re: 〇りさま☆
ありがとうございます~~☆

サプリメントは確かに怖いですね!!
ワタシの場合はどうやら「水質」に原因があるようです。
ワタシの住んでいる地域のひとは、腎結石が異様に多いとかの噂です。
確かに、泌尿器科はメチャ混みでした~~~><

シリアスなのに、クスっと笑える要素…
ありがとうございます^^
出来るだけ大真面目に書いたのですが
つい、「波平」挟んでしまいました…
笑いを求める関西人気質…。

真澄の一真化。マヤたん大乗り気。
「一度でいいんです、速水さん。本読みだけでもいいので稽古につきあってください!」
「いいのか?おれで…」
「速水さんがいいんです!(ウルウルの瞳)」
「ま…マヤ…っ…」

萌えっ!!


ああ、脱線してしまいそうで怖い…

ありがとうございました~~☆


2012-10-22 Mon 00:22 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
Re: の〇〇ばさま☆
ああああ、ありがとうございます!!
読み逃げスマン、などとおっしゃいますな!!
こうして初めてのコメントを戴けるだけで感涙ですので!
それも過去をさかのぼって読んでいただけて、本当に嬉しいデス!!

まさかの剃髪でドキドキワクワクしていただきましたが、
「は?なーーーんだ」ってなりそうで怖いんですよ~~
いまから謝っておきます!!
生温かく見守っていただけたらと…
出来るだけ期待を裏切らないようにがんばります~~~うううう。

またおまちしてますねっ♪

ありがとうございました~~☆

2012-10-22 Mon 00:36 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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