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蕩けちゃってる
2013-02-12 Tue 02:24
今宵も

 はね吉 がらすの森
        ~違う妄想ばかりが…逃げ?~

 
 …に、お越しくださいまして、ありがとうございます!!




 イカンイカン、と思いつつ。




  …続きから、ドゾ!!!








  * マスマヤの想いは通じ合っていません… *




    蕩けちゃってる


なかなか、自分の望みどうりにはいかないものだ。
いや、98%は望みが叶っている、というべきなんだろうが
本当の願いだけがうまくいかない。

そうそう全て願いが叶っていくなんて、虫のいい話は転がっていませんわよ!と
髪の長いコワイ女性に睨まれそうだが、やはり正直な気持ちは誤魔化すことはできないものだ。

ひょんなことで婚約解消できた。
そして、どうした風の吹き回しなのか、
ゴキブリやゲジゲジと同類のように嫌われているはずのチビちゃんに
とりあえず断られる前提で再契約の声をかけると
あっさりと
「かっ…かまいませんよ。前にすごく迷惑かけちゃったから…お詫びかたがた」
なんてよくわからない理由で契約を快諾?してくれた。

それで、どこが不満なんだ!何が物足らないんだ!とお怒りだろうか。



そうだな、ひとたび小さな願いが叶えられると、次々に欲張りになるのだろうな。



あの子の誕生日には、何か社長としてプレゼントでもしてみようか。
紫のバラのひととしては、もう用意済みだが…。
どちらかというとさりげないもののほうが、あの子も気持ち悪がらないのかもしれない。
そうして考えを巡らせていると、バレンタインのチョコレートが目の前に差し出された。

「!!!」

「速水さん、こんにちは」

「あ、あぁキミか。どうしたんだ何か用か」

考え事をしながら廊下を歩いていて不意を突かれた。
まさか、こんなところでこの子と出くわすとは。
心臓が急にバクバクと刻み始める。

「自分の事務所なのに何か用か、なんて。やっぱりあたしのことなんてどうでもいいんですね」

「そんなことないさ。あの小うるさい豆台風は今や我が社の稼ぎ頭だからな」

バクバクを誤魔化す為に、わざと憎らしい口をきいてしまう。
こんな癖がますます嫌われる原因だとわかっているはずなのに。

腕時計を見ると、もうかなり遅い時間だ。撮影が押したのだろうか?

「なんでこんな時間までこんなところにいるんだ?
 明日も撮影早いんじゃないのか?
 チビさんは早く家に帰って寝たほうがいいぞ」

「ぅもおおおおお!いつまでも子ども扱いするんだから!!
 そんなんだから結婚寸前で婚約破棄されちゃうんでしょ!!!」

…子ども扱い出来てたら、そのまま結婚してたさ…

「そんなわけで、かわいそーな振られシャチョーさんに、
 愛の義理チョコ渡しに来たんです!ハイ!いつもお世話になってます!!」

マヤはそう言って、コートのポケットから小さな包みを出してきて、おれの胸に押し付けた。
はっとして受け取る瞬間、触れたマヤの手はとても冷たかった。

「仰るとおり、明日早いから帰りますっ!
 お仕事毎度お疲れ様です!! っじゃっ!!!!」

そうまくしたてて、マヤはくるっと回れ右をして
疾風のように走り去ってしまった。
ありがとうの言葉も聞かずに…。


おれは、驚いて、嬉しくて、何も言えなかった…。


社長室に戻ると帰り支度をしていた水城秘書が目ざとく発見した。
「まぁ!社内でチョコレートの包みを真澄様にお渡しできる社員なんていましたの?!
 大都の社員であれば、絶対に手渡しは出来ないから…と秘書室に持って来るのが関の山
 しかももともと受け取ってもらえるとも思っていない者ばかりですのに」

「あぁ、チビちゃんにはそういった慣習は伝わっていなかったらしい」

水城秘書は大袈裟に驚いた表情をした。可笑しくてたまらない、という感じで。
ちょっと…ほんの少し、ムカツク。

「良かったですわねぇ・・・・真澄様・・・・」
なんだか自分でも耳が熱くなっているのがわかる。

「どうせ、義理チョコだ。そんなんだから婚約破棄されるんだって叱られたよ」
「まぁ…相変わらず言いにくい事をバッサリ言ってくれますわね…」

おれは、マヤのくれた市販のチョコレートの包みを
水城君の見ている側から剥がしていく。
恥ずかしくてわざとぶっきらぼうにしてしまう。

「ん?」

「どうなさいました?」

「なんか…カタチが歪だ」

「はい?」

「あいつ、いっぺん溶けたようなチョコを渡しやがった。
 おれはよっぽど嫌われているらしい」

水城秘書はおれがふて腐れて机に放り出したチョコを見て
何か考えるようにして指をアゴにこすりつけた。


「真澄様…逆かもしれませんわよ」

「逆?」

「真澄様にお渡しするまで…握りしめていたのかもしれませんわ」

「?!」

「身体に一番近いところにずっと抱いていたから
 …マヤちゃんの体温で、蕩けちゃって…」


つ、つまりは…?おれは次の言葉を待つより先に、社長室を飛び出していた。

手が冷たくなるまで偶然を装うようにして待っていてくれたと思い込もう。
正直に、例え勘違いの思い上がりでもいい、

君のチョコレートにおれは蕩けてしまった、と告げよう…








         おしまい。









    それでは今宵はこのへんで。

   明日もいい日でありますように…!















 
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