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巡礼
2013-07-04 Thu 02:07
今宵も

 はね吉 がらすの森 ~とうとう、HKD48手最後のお題となります~



 …に、おこしくださいまして、ありがとうございます^^




 そうなんです、最後のお題、なんです!!

思えば、皆様からリクエストを頂戴してオハナシを綴っていこう、と思い立ってから…
すでに1年以上経過しておりました…
長きにわたり、おつきあいくださいまして、ありがとうございます^^

そして、お題提供してくださった方、
お題UPの度に、お声をかけてくださって、ありがとうございます!


間にイベント話なども挟みながら、自分のペースで綴ってきましたが
実は今回のお題は、始めから「ラストにもって来る!!」と決めていました。

テーマも決まっていたのですが…熟成にとても時間がかかり…
正直に言うと、まだまだ悩み中、なのです
消化不良おこすかもしれません~~

感想など お聞かせいただけたら、うれしいです^^






気合だ!!!




 では、続きから、ドゾ!!













         巡礼







 関西方面での公演の後、暦は12月に入ったところ。
神戸では「神戸ルミナリエ」が開催されている…今年で、何年目になるのだろうか。
真澄はマヤとふたり、神戸の街に出向いて光の中を歩く事にした。
ルミナリエ会場で、この催しは阪神淡路大震災で失われた命への鎮魂の祈りと
復興への願いをこめたものだということを知ることになった。
阪神淡路大震災からしばらく、神戸の街は見事に復興を遂げたと言ってもいいかもしれない。
しかし、人の心に残る傷痕は、なかなか癒えるまで時間がかかるのだ、とあらためて感じた。
また、被災した人々の中に、後の災害で被災した人を助けたい、という強い想いがあることを知った。

「速水さん、あたし、なにかできることないかな」
マヤがそう言い出すのも、当然だった。
そしてその思いは真澄も同じだった。

「ちゃんとした劇場でなくていいの。試演でシアターXでの紅天女をしたくらいだもの。
 できれば、どこででも、最小限の機材だけでキャラバンくんで巡れるような…
 短い時間でも、ううん、朗読とかだっていい、現地で、そこの人達の側で出来るようなこと…」

マヤのアイデアはチャリティとして被災地をめぐり公演をするには最適なものだった。
芝居の舞台をプロデュースする力もも既にもっているのだろうか、と
マヤの持つ才能に真澄は舌を巻いた。
そして、ほんの少し嫉妬する。そこは、自分のテリトリーにしておきたい。

「そうだな。きみのアイデアを形にするために何人か助っ人を頼んである。
 ふたりの王女の時の制作主任だった兼光さん、彼は東北出身だからね、この話に興味を持ってくれた。
 それから脚本家ではないんだが、詩人の森之宮創さん。きみのファンだそうだ」

「わーーー、すてきですね!
 でも、速水さんたらもうそんな依頼まで先にしてくれてるなんて…さすが社長!」

「チャリティだからね、無理を言って引き受けてもらうんだが
 ふたりともかえってこの企画を喜んでくださった」

「…ありがたいです」

「それでこのふたりが言うのが、企画のイメージを確かにしたいので、被災地にいってみたい、ということなんだ」

「…あ、あたしも行きたいです!!!」

「…そう言うだろうと思っていたよ。
 そのふたりからも、ぜひきみといっしょに行きたいのだ、と申し出があった」

「あぁ…うれしいなぁ…いい作品が出来るような気がします…」



マヤがしみじみと喜びをかみしめている。
その横顔には、聖母マリアのような慈愛がうかんでいる…真澄はうっとりと眺めた。





--------------------------------------------------------------------------------




マイクロバスに乗り合わせて、被災した土地を巡る。
誰もが口数が少なく、瓦礫が撤去されたあとの何も無い道をただ見つめる。
車窓から遠くに、ぽつり、ぽつりと流されずに立ち続ける、
例えば樹木、例えば何かの像、例えば鉄骨だけの建物の跡。
そして背の高いクレーンが何基か作業を繰り返している。

あの日、テレビのニュース映像で失われていく街を見ていた。
今日と同じく、涙ばかりが頬をつたっている。
心を奮い立たせて復興を目指している現地のひとに
ただただ悲しんでいるだけの
無力な自分を見せることは失礼にあたるのではないか。


「みなさんは…どう?」森之宮が口を開いた。

「ぼくはこの風景をニュースで見て、言葉をなくしてしまった。
 ひょっとしたら、ここに来れば何か生まれるんじゃないかって
 そう思いながらこの風景をみていたんだけど」

「搾り出そうとして、自分の心の中を探るんだが
 それはどうしてもそぐわない気がして、またもやもやと霞んでいってしまう…
 ずっとずっとその繰り返しだ」

「あの時あった瓦礫は、今ほとんど取り去られて何もないが
 あの時はいたるところに、死が横たわっていた。
 一度に大量の、何もかもが喪われてしまった。
 
 遠く離れた地にあったぼくたちも
 『助けてあげられなかった』
 『ただ見ることしか出来なかった』という死を体験している…」

マヤの瞳から落ちる涙の、ぽとん、ぽとんという音がここまで聞こえてくる。

「何か自分たちに、できることがあるんじゃないか。
 何かひとに、あたらしい生きるという何かをつたえられるんじゃないかと
 こうして集まったぼくたちだけれど…
 この風景の持つ痛みを意志の下敷きにもっておかなければ、
 ただの上っ面でキレイ事を並べてしまうだけ、になってしまうとぼくは思ったんだよ」

「わかります」  真澄が重く口を開いた。

「memento mori…」

「メメント モリ?」

「ラテン語の警句です。
 直訳すると「死を想え」になりますが、
 『人は必ず死をもって来世に逝く、現世での贅沢や手柄になんの価値があるだろうか』という
 宗教的な意味合いで用いられてきました。
 しかし、いまの森之宮さんの話を聞いて、この言葉に違った意味を感じたのです」

「さすが速水社長…博識ですね」兼光が身を乗り出した。

「ぼく達はなんらかの形で、同時期に大量の死を体験した。
 そして、この跡形も無くなった場所に立っているだけで、あの日の記憶がたちのぼる。
 悲しみと、怒りと、後悔と、虚無を。
 しかし、いつまでもこの場所はこのままではないんです。
 いずれ、新しい街がつくられていくのだろう。
 復興の兆しは痛ましい記憶を中和していくのかもしれない。
 あの日の死を体験していない新しい命が増えて、
 ここにあった死は忘れ去られてゆくのかもしれない」

「そうだな…流されずに立ち続けている樹や建物が、
 この震災の記憶を次世代に繋ぐもの、
 復興への希望のシンボルとして保存されようとしているが
 こうして見ると私には鎮魂の祈念のモニュメントや
 …誤解を恐れず言ってしまえば、墓標のように見える瞬間がある。
 流されて家に帰ってこれないものたちのたくさんの魂の拠り所のようにね」

「ただ…『死を想え』では、希望に繋がるチャリティにはならない…」


重い沈黙が漂い始めた頃、マヤが打ち破って呟き始めた。


『この世は相反する二つのもので成り立っておる…
 すなわち誕生と死、創造と破壊、光と闇、男と女
 それらはまったく対立したもののように見えて
 実は一本の棒の端と端、つながりあう両極…』

「紅天女のなかの一節ですね」

「はい…」

「そうか、我々が感じているこの風景も、対立した二つのものを内包している…
 風が吹けばその度風紋が変わるように、
 波が寄せて返すように。
 体験がかわり、時代がかわり、見る者の意識が変わるたび、
 両極を行き来するんだ」

「その、行き来する意識の中で、生きていることの尊さを知るのではないでしょうか?」

「Dum Spiro Spero」

「…また、ラテン語ですね?速水さん」

「あぁ…すみません。ドゥム・スピーロー・スペイロー。
 『私が息をしている間は、希望を持っている』と直訳するんです。
 呼吸もひとつの両極を行きかう作業だとすれば、
 そこに生きることの尊さ、希望がすでに備わっているという意味でしょうか…?」

「つながりましたね、生と死の両極を行きかうなかの、希望…」

「考えれば、自然災害ばかりではない。
 もっと理不尽で理解できない大量の死の象徴…戦争。
 わが国には二つも被爆地がある。
 空襲で焼かれた地、本土に切り捨てられ、占領された土地もある。。
 どうしても忘れてはならない大量の犠牲のうえに、我々は現在を生きているんだ。
 もう二度と繰り返さない、平和という希望をもって生きるために…」



 森之宮が全員を見渡して最後に呟いた。

「…なにか…方向が見えてきた?
 多分…皆さんのなかにも、ぼくと同じイメージが繋がっていると思うんだけど。
 …どうかな?
 それで、いけますよね?」

 そこにいる全員が満足げに頷いた。



















 ひとりの少年が遠くをみつめる。
 待っているのは、家を出たまま帰ってこれずに竜になってしまった母のこと。

 またあるひとは、銀河を走り天界へ運ぶ鉄道にあのひとは乗っていた、という。
 
 待っていてくれたんだね
 実はほらもう、そばにいるよ
 お前に伝えたいことばがあるんだ
 お前が強く生きていける、まほうのことばだ。
 大きく息を吸って
 大きく息を吐いて
 心の中でつぶやいてみてほしい

 くりかえしくりかえし、よせては返す波
 そこに小さな舟を浮かべて、あちらこちらへ行ったりきたり
 絶え間なく流れてゆく時間、生きている証。

 そうして

 うたっているのは、愛?希望?

 だから後悔や罪悪感で自分を縛らないで
 ただただ、
 大きく息を吸って
 大きく息を吐いて

 涙を拭わなくてもいいから

 心の中でつぶやいてみてごらん

 すきだよ だいすきだよ と



















 森之宮 創の書いた言葉をマヤが読み、そのイメージから一人芝居を即興で演じた。
「ふたりの王女」のオーディションで見せた、芝居を即興で作り上げる力を兼光は忘れていなかった。
その一人芝居をもとに、最小限の音響と装置を組み、
背景や舞台装置のかわりとなるような舞踏団を合わせた。

劇場ではない、野外の、モニュメントや祈念碑そのままを背景に取り込んだ簡単な舞台を組み
客席と舞台の境界はなく、観客も時に演者の一部になる。

マヤが今までの舞台で経験した、実験的な演劇のエッセンスを十分に生かした作品になった。


そしてそのチャリティ公演は、被災地だけでなく
あらゆる災禍に見舞われた地域でも開催されていき、
紅天女と並ぶ、マヤのもうひとつのライフワークになっていったのだった。










おしまい














 ああああああ。


結局、なんだか尻すぼみのまま、終わらせてしまいました。
むずかしい・・・難しすぎたかもです。



最後のお題、  「Dum Spiro Spero」

希望に満ちたことばです。



現実は、しかし、いつもいつも希望に溢れているばかりではない
中には、絶望と希望が表裏一体になって ひらりひらり瞬間に変化して見えている方も多いのでは?

そして、

「ああ、自分はこんなふうに楽しんでいていいのだろうか?」と
苦しい胸のうちを誰にも言えずに耐え忍んでいる方もいるのでは?


ああ、でも



それが、生きている ということ

ただ、ご自身を責めないで、と思います。


一瞬、ふっと深呼吸できたとき、

Dum Spiro Spero・・・・

わたしに息があるあいだは、希望はうまれる


そう、憶えていて欲しい、と思います。







 お題の数々、本当にありがとうございました。
 いろいろと考える中で、たいへん勉強になりました。
 エラソーに語ってしまって、スミマセン~~~><




 ああ、そしてHKD48手、無事卒業しました!!うひゃーーー!



 今後また自分で萌えた妄想綴りを始めたいと思います。


 時々、「こんな萌え、いかが?」とタネ蒔きにきていただけると嬉しいです~~
ぜひぜひ、おまちしております!!








 それでは今宵はこのへんで。


 明日もいい日でありますように~~~~!!!!



















 


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<<ご無沙汰しております | はね吉 がらすの森 R-18 | ああうう、御礼もうしあげます!!!!>>
この記事のコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-07-05 Fri 09:23 | | #[ 内容変更]
Re: 祝卒業!
ぎゃぼー!!お返事してないまま何ヶ月?????!!!!
ほんとうに失礼致しました!

この夏の暑さは、本当に消耗しましたね…
病み上がり(?)のカラダにかなり堪えました><
ってか、病院って快適すぎた…

かなり裏話ですが

この前作「はだかのままで」でマヤちゃんを朝ドラヒロインにすべく
取材?がてら見始めた「あまちゃん」
みごと例に漏れずダダハマりしてしまいまして
昨今は涙なくして15分間を見終わる事が出来ませんで
どして有働さんは泣かずにあさイチでコメントできるんだ?!な境地にいたっております。

そして例外なく、ミズタクにハマってしまいました。

なんで?ってそりゃアナタ、ハヤミマスミを彷彿とさせるじゃありませんか、ここだけの話!!!

「ミズグチは2000円でイイヨ」と14歳のベロニカに言われてしまった経済状態ではありますが、
原石を磨き続ける姿勢は…ココロの有り様は…ハヤミマスミのソレではないのか?!と。

(ハッッッ!ということは師匠は勉さん的な・・・・・・源三さん?)

そういう意味では、ズブン先輩の里美くんからコージに降格?@福士ソウタくんも納得です。
思い出してもらえないストーブさんは………ダレ?(おもいついてもらえない)

そーゆーあたりで、クドカン的エネルギーに刺激を受けまして
こちらにも活かしていけたらなーと思っております。


いつも、楽しいコメント、本当にありがとうございます~~^^

夏の疲れが出やすい時ですので、
どうぞご自愛くださいね~~!

 あまロス症候群必至のはね吉でした~~。ううううう><。



2013-09-06 Fri 00:11 | URL | はね吉 #-[ 内容変更]
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