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ひとつのまこと 1
2011-03-02 Wed 01:18
桜小路くんのこと、気の毒がっていたら、
ついつい妄想が一人歩きしだしました。

ちょっとだけ、書いてみます・・・




          ひとつのまこと 1




満開の、梅の花。1本の古木の梅のもとで、僕は笛を吹いていた。
静かだ。
小川のせせらぎと、笛の音だけ。
ここは、初めて『紅天女』を観た、梅の里なんだな?

「おまえさま・・・」

僕を呼ぶ声がする。
阿古夜の声・・・マヤちゃんだ・・・

振り返ると、阿古夜の衣装をまとったマヤちゃんがこちらに歩いてくる。

「阿古夜。」

阿古夜は一真の僕に嬉しそうに寄り添い、肩に頭を預けて来た。

愛おしい。

肩を抱いて顔をよせて、阿古夜の髪に口づけた。
芝居の稽古の時は、そこまで出来ないけれど・・・

好きだ。阿古夜・・・

・・・マヤちゃん・・・



『阿古夜・・・・』



どこからか、別の男の呼ぶ声がする。
低い、涼やかな声だ。

抱いていた阿古夜の肩が、僅かに震えた気がした。


「おまえさま・・・・」

「?」

自分を呼ばれたと思ったのに、見つめた阿古夜の瞳は、僕を映してはいなかった。


「ごめんなさい、桜小路くん!」

突然そう叫ぶと、阿古夜は・・・僕の阿古夜・・・マヤちゃんは僕のもとを離れてしまった。

内掛けを翻しながら、舞うように飛ぶように僕から離れていく。

「マヤちゃん!!」
僕は彼女を追いかけた。
走っていたと思ったら、いつの間にか、海の中を泳いでいた。

彼女を、助けなくちゃ!!

そう思って見ると、彼女はあろうことか、船の上だ。

あの声の男の、腕の中にいた。
・・・あれは・・・速水さんだった・・・




置いて行かれまい、と僕は懸命に泳いだ。
抱き合う二人は、僕のことなど気にもしていない。

そのうち、二人の姿が
何も身に纏っていない姿で・・・熱く抱きしめ合うのが・・・

波の間から、僕は力の限り叫んだ。

「ふたりとも、へんだ!!どうしちゃったんだ!
マヤちゃん!僕の阿古夜はどこに行ってしまったんだーーー!!」


は、と意識が戻った。
体中が重くて、身動きが出来なかった。
足は吊るされているし、あちこちにシップやら包帯やらが巻かれているし。
クダにもつながれているし。

どうしたんだっけ・・・


記憶をさぐって繋がるまでに、
僕を縛り付けているベットに寄りかかりながら
涙の痕をぬぐいもしないで
僕の手を握り締めて眠りこけている、

愛おしい彼女の姿をみつけた・・・



マヤちゃん。


ほんとうのキミは、いったいどこにいるんだい?







続くのか?とりあえず終わるのか?
結局ワタシは桜小路くんをどうしたかったのか。
ゴメンネ、桜小路クン。
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