今夜はブギーバック 舞台の打ち上げの二次会に、こんな場所にまでついていく羽目になった。
最近のクラブ…いや、昔で言うところの『ディスコ』のほうだが…は事情がわからない。
だいたい、俺の仕事絡みではあまり出入りする場所ではない。
重低音が腹に響く。DJが鼻歌のように喋る。その度に客が「イェー」と。
照明はミラーボール、点滅、スモークにあたるスポットライト。
俺はのり切れない。独り、BOXで酒を舐めている。
ラップに混じりながら、甘くて切ないメロディラインの曲がかかる。
歌詞は70年代のソウルミュージックのタイトルが多く使われていて
だからそんな懐かしい気持ちになるのかもしれない、と思った。
マヤもこんな場所は初めてのはずだが、若い共演者に混じって楽しそうに踊っている。
リズムを感じて身体を揺らすだけだが、マヤの周りだけがキラキラと輝いて見える。
神さまがくれた甘いあまい Milk & Honey…
神さまがくれた。本当にそうだな、マヤ。
君が舞台で輝いている時。
俺から離れて、他の連中と楽しそうに踊っている時なんかは
身も心もしっかりと繋がっているとわかっているのに、
なんだか遠く離れてしまったような
また、手が届かなくて苦しんでいた頃のような寂しい思いになる。
くるくるとまわる。
光を纏って、ゆらゆらと。
あまく、あまく…。
見つめている俺に気がついて、マヤがこちらに近づいて来る。
うっすらと汗ばんで、遠めには気が付かなかったほのかな色香がする。
「速水さん」
「ん?どうした」
「それはこっちのせりふです。なんですか?じっーと見つめたりして」
「そろそろ連れて帰りたくなってね」
「えぇ~さっき来たばかりじゃないですかぁ。やっと雰囲気にも慣れてノッてきたのになぁ」
「この曲が…」
「え?」
「この曲を聴いてたら、切なくなってね」
「ふうん、そうかな?あたしはなんだかキラキラして楽しいって思っちゃうんですけど」
「そうだよ。マヤがキラキラしてるから」
「ふふ。どんなふうに思うの?」
「…あまくて、まるくて…少しクセがあって。
切なくて、いとおしくて…そうだな…
かるく、発情してる…」
ぎゅ、とマヤの手を握る。
顔を紅くしてどんぐり目になって俺を見つめるマヤ。
「はっ、はっ、発情ってそんなあからさまにっ…!」
「ダメか…?」
そのまま席を立って、出口に向かう。
「かるいうちにココを脱出しなくちゃ…たいへんなことになる」
マヤを引き摺っていく。
「ゴメンナサーイ、社長命令でそろそろ失礼しまーす!お疲れ様でーす」
律儀に挨拶するマヤ。
「もう。速水さん、ゴウイン!横暴!えっち!」
「なんとでも言ってくれ。今夜は…」
「さっきの曲。今夜はブギーバック、っていうらしいですよ」
「ブギーバック、ってどういう意味だ?」
「さぁ・・・?」
あまいミルクやハチミツより、あまい笑顔で返してきた。
おしまい。
・・・みったん、こんなのでいかがでしょ?
ワタシはKREVAさんのラップの入ってないバージョンのイメージで書きました。
ようつべでは佐藤たけるくんのPVになってました。
L○しゃん、あまあまな雰囲気で…
あと、どこかに消えていった二人は、んふふ、ってことで。
いやぁ、楽しかったです!!
よかったらまた聞いてみてくださいね~vv
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